好き度:★★★★☆「(500) days of Summer」
運命の恋を夢みる男の子トム(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)が、
真実の愛を信じない女の子サマー(ズーイー・デシャネル)に恋した
ビター&スウィートな500日間。
THIS IS NOT LOVE STORY.
THIS IS STORY ABOUT LOVE.
映画好きな人から軒並み絶賛の嵐の本作品、私も大好きでした。
瞳の大きなサマーに魅せられ、熱にうかされ、
過去の傷口に塩をすりこまれ、悶えている人のなんと多いこと(笑)
トムがサマーに出会ってからの日々を、時制をいったりきたりして
とびきり素敵な音楽と、凝った編集の映像で、ビビッドにみせてくれる。
通常のハッピーエンドなラブコメとは違い、二人がどうなっていくのか先が読めず。
でも、恋というのは本来そういうものじゃ?
幸せ絶頂な時もあれば、どん底におとされることもあり。山あり、谷あり。
自由奔放なサマーの行動に振り回され、一喜一憂するトムには、
誰かに恋したり、失恋したことがある人なら感情移入してしまうはず。
想いが通じた翌朝に、まるで世界中が自分を祝福してくれているかのような
ミュージカルシーン。楽しくて、最高!
また、大好きだった彼女のチャームポイントが、仲が険悪になっちゃうにつれて
嫌な部分に変わっていくところとか。わかるよねぇ・・・・。
「スミス好きなの?私も。」のサマーの一言で恋に落ちちゃうトム。
彼女こそ、運命の人だと。
そして、スミスが好きなら、きっとこの曲も好きに違いないよねと思い込み、
自分の好きな音楽をあれこれ勧めてしまい、サマーは無視ってところに苦笑。
だって、私もよくやるー。
ひとつの好みがあったからといって、全部が全部あうわけではない。
でも見極めって難しいよね。浮かれている時期は特に。
で。サマーの視点からいうと。
「真実の愛なんて信じない」
これは手ひどい失恋を過去にしたからなんじゃないかなと想像してしまった。
両親の離婚も経験しているし、永遠に続く愛なんてないと。
きっと、過去にトムのように相手に振り回され火傷していると私は思うのだ。
だからこそ、深入りはしない。
とても好きなシーンがある。
トムがサマーをお気に入りの場所に連れて行き、本来やりたい建築の仕事の夢を語る。
僕ならこうデザインするんだけれど。
その設計図を描いてってサマーが自分の腕を差し出す。
なんて素敵な女の子なんだろう!
サマーも、夢を語るトムが好きだったんだろうと思う。
でも、その実現には具体的に動こうとしない。
自分との恋愛で頭がいっぱいなトムから少しずつ心が遠のいていく。
そう。トムのことを大好きなんだけれど、夢中になるほど恋する相手ではなかった。
二人で見る「卒業」。あれは切なかった。
花嫁を結婚式から奪って二人で逃げる有名なクライマックスではなく、
その後の二人がバスに乗っていてなんだかとまどった表情をするシーン。
ここで、サマーはぼろぼろ泣く。トムはその理由がわからない。
「卒業」はハッピーエンドではないのだ。
情熱にまかせて逃げてきてしまったけれども、
二人の未来は明るいものではないという暗示のシーンで、
サマーは自分の気持ちがシンクロしちゃったんだよね。
「好きなんだけれども、この人じゃない。」
オープニングシーンで二人の生い立ちを2画面にわけて同時に見せていたのもよかったね。
それぞれ違うところで、違う人生を過ごしているのに、
これだけ人間が
いるなかで、ある日出会い、恋におちるなんて考えたら凄い偶然だ。
トムがサマーに出会ったのも、それだけで素敵なことで。
痛い思いをしたけれども
じりじり夏の太陽に焦がれるような恋を経るのって大事じゃないかな。
そういう経験って人を成長させる。
時は流れ、季節はめぐり、
性懲りもなくまた誰かに恋をする。
私たちは そういうふうにできている(笑)