「ダイアローグ・イン・ザ・ダーク」というイベントに参加してきました。
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★8名ほどのグループで、完全に真っ暗闇の空間にはいり、色々なことを体験する
約90分のツアーで、グループの先導役として視覚障害をもつ方が1名つきます。
数年前に直島へ旅行へ行った時のこと。
直島の家プロジェクト、南寺(お寺の跡地に安藤忠雄氏が設計した建物)の中に、
ジェームス・タレル氏が制作した「Backside of the
Moon」という作品があります。
建物の中にはいると最初は鼻をつままれてもわからないほどのまっくらやみで、
椅子にたどりつくのもやっとなのですが、
座って10〜15分ほど経つと、前方にぼんやりと四角の光が見えてくるという作品。
ほんの微かな光をとらえることができる人間の視覚能力にいたく感動した覚えがあります。
しかし、今回は完全な暗闇。いくら時間が経っても何も見えてこないのです。
視覚以外の感覚に頼るしかない世界は一体どんなものなのか・・・?
まず、最初に各人に白杖が渡され、それを使いながらツアーが始まります。
使ってみて初めてわかるのですが、白杖って本当に使い勝手がよくて、重宝するのですよ。
地面は平らなところばかりではなく時には、ごつごつしていたり、
ふかふかでやわらかかったり、はたまた、川にかかっている丸太橋を渡ったり。
ちょっと先がどのようになっているか白杖で確かめることによって、
自分の動きを決めることができるのです。
もちろん、最初は一歩歩くだけで怖い。方向がわからないし、人との距離がわからない。
視覚からの情報がないだけで、こんなに心もとないものかと。
みんなでお団子状態になりつつ、おそるおそる進んでいくのですが、
暗闇のエキスパート、アテンドの方の「皆さん、こちらですよー!」という声の
なんとなんと頼もしいこと!!
しばらくたつと、暗闇にもなれ、少しずつリラックスしていきます。
音を集中して聴いたり、空気の温度が変わるのを感じたり、草木の香りに気づいたり、
視覚以外の自分の感覚がとぎすまされて、いつも以上に敏感になります。
そして、何より楽しいのが初対面同士なのに、いつもより早くうちとけられること。
だって、一人じゃとてもじゃないですが、前に進めないので、自然と声をかけあうように。
「こっちは行き止まり」「段差があるから注意してくださいー。」
「背が高い人は,この入り口ちょっと低くなっているから頭ぶつけないでね。」などなど。
声、だけなんだけれど。その人がどんな人なのか、次第にわかってくるのが不思議。
そして、全員で移動しつつ、いろんなことをやってみるのですが、
日常生活ではいとも簡単にできることなのに、結構時間がかかったりするの。
手紙を書いたり、ボールで遊んだり。これがかなり楽しいです!
最後には「くらやみカフェ」で休憩。飲み物を頼んで、お金のやりとりする。
みんなコーヒーなど頼んでいましたが、私と友人はもちろんアルコールで。
私はビールを頼んだのですが、いつも飲んでいる銘柄だと思っていたら
全然違っていました(笑)案外、自分の味覚はあてにならないなあと思った次第・・・。
終わってみて。
確かに、視覚は制限されるのだけれど、それ以外の感覚がいつもより
フル回転するのを感じます。
あらゆる情報をインプットしようと、自分の本能が覚醒されるというか・・・。
また、他人とコミュニケーションをとることの大切さを改めて実感することにより、
変にガードが固くなっている自分の気持ちがより解放されるのですよね。
世界がより広く、より自由に感じられるのが自分にとっては新鮮でした。
本当に面白いイベントだったので、何人か友人を連れて
また体験しに行きたいなと思います。