好き度:★★★★☆「CADILLAC RECORDS」
1950年代のシカゴ。今日のアメリカ音楽の礎を築いた伝説のレコード・レーベル、
チェス・レコードと所属するミュージシャン達の栄光と衰退を描く。
白人や黒人のミュージシャンの区別なく、素敵な音楽をあたりまえに楽しめる時代に生きる私なので
黒人が音楽業界で表舞台に立っていない時代があったというのが、信じられないほど。
だから、農夫であったマディが畑で口ずさんでいたブルースが、
レコードとなり、ラジオから流れ多くの黒人の人々に知られることになり、
次第に黒人と白人の区別なく人々を魅了していく過程に、とても感動をおぼえる。
同じライブ会場の中でも、白人と黒人のエリアの間にはロープで仕切られているのだけれど
チャック・ベリーのノリノリの音楽を聴いた聴衆が興奮して、ロープを超え、
人種関係なくみんなが踊りまくるシーンにも同様に興奮したなあ。
マディ・ウォーターズ、リトル・ウォルター、ハウリン・ウルフ、チャック・ベリー、エタ・ジェームス
埋もれかけていた才能ある彼らを見出したのが、白人のレナード・チェスであったことが興味ぶかい。
まだ人種差別が根強い時代に彼らを家族のように扱い、売れると成功の証としてキャデラックを与える。
どちらも契約という意識が薄く、どんぶり勘定だったりするのが、後に確執のもととなるのだけれど。
こうして一世を風靡したチェス・レコードのミュージシャン達。
彼らの音楽は、形を変えて、今なお現代の音楽の中に息づいている。
ローリング・ストーンズの名前って、マディ・ウォーターズの曲からとったというトリビアネタもあり。
多くのミュージシャンが登場し、
皆の波乱万丈な人生(栄光から酒・クスリ・女で転落!)を駆け足でみせていたので、
特定の人物をじっくり描く人間ドラマをもっと見たい気もしたけれど、
(今回語り部であったウィリー・ディクソンが主役の映画が見たいな〜。)
今聴いても色褪せていない素晴らしい歌の数々に酔いしれるだけでも、十分満足できる映画だった。
何より驚いたのが、今回全員が歌の吹替えなしだったということ。
マディ役のジェフリー・ライトや、ハウリン・ウルフ役のイーモン・ウォーカーなんて、
歌手じゃないのに、びっくりするほど素敵なパフォーマンスだった!!
エタ・ジェームス役のビヨンセが涙をためながら、去り行くチェスを思って歌う
「I WOULD RATHER TO GO」は素晴らしくよかったしね。
当時の人たちが、新しい音楽にいかに熱狂したことか!
その熱を追体験できてしまうのだから、やっぱりこういう映画は大好きなのだ