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好きな映画を中心に日々感じたこと、あれこれ。
本日でとりあえず見たい映画は全て鑑賞。
2008年の鑑賞本数は79本(日本公開作品:70本 日本未公開作品:9本)でした。
ではでは、今年の私のベスト10。
1.潜水服は蝶の夢を見る
Le scaphandre et le papillon ジュリアン・シュナーベル監督
詩情溢れる美しい映像、観客を主役の目線に引き込む脚本と演出の巧さ。
左目のまばたきだけで全てを表現したマチュー・アマルリックの演技の凄さ。
全てが素晴らしく、言うことなし!
どんな困難な状況であっても、希望とユーモアを忘れずに生き抜くことが大切〜。
2.アメリカン・ギャングスター
American Gangster リドリー・スコット監督
刑事とマフィア。
対照的な位置にありながら本質的には似ている二人の男の対決に痺れ。
さすがのラッセル・クロウとデンゼル・ワシントン。
ボクシング会場のシーンにぞくぞくきましたね。
3.ダークナイト The Dark Knight クリストファー・ノーラン監督
エンターテイメントとしては最高のクオリティ。
正義が悪を倒すという単純なストーリーではないところに惹かれました。
ヒース・レジャーが命を削ってうみだしたジョーカーの「最凶」な存在感はいうまでもなく。
4.ぐるりのこと。 橋口亮輔監督
何があっても離れずにそばにいる、こういう夫婦の絆っていいですね〜。
泣けました。実際の事件を彷彿とさせる裁判シーンも印象的。
5.落下の王国 The Fall ターセム・シン監督
物語を紡ぐことの素晴らしさと
サイレント時代から延々と続く映画にかける人々の情熱。
幻想的な映像は全てCGなしでオールロケーションということに感動。
まだまだ世界は広い〜!
6.アフタースクール 内田けんじ監督
気持ちいいほどに最初から思いっきり騙されました・・・・。
全く先が読めないストーリー展開に唸り、ラストでは気持ちがあったかくなる。
邦画界にこういうオリジナル脚本がかける映画監督がいることが凄く嬉しい。
7.ゼア ウィル ビー ブラッド
There will be Blood ポール・トーマス・アンダーソン監督
後味悪いので、本来は好みの映画ではないのですが、
好き嫌いを凌駕する、開拓時代のアメリカを貪欲に生き抜いた男の負の引力に抗えず(苦笑)
ダニエル・デイ・ルイスは凄かったけど、宣教師役のポール・ダノも負けてなかったな〜。
8.エグザイル/絆 放・逐 ジョニー・トー監督
スローモーションのガンアクションシーンの芸術的な美しさにフォーリン・ラブ!
見返りをもとめず、ただ友情のために命を張る男たちのダンディズム。
女としてあこがれる世界です。ジョニ・トー監督にはこれからも注目していきまっす!
9.トロピック・サンダー/史上最低の作戦
Tropic Thunder ベン・スティラー監督
今年、もっとも笑えた映画です。RDJの復活ぶりも嬉しく(笑)
しかも、ゴールデングローブ助演男優賞に二人もノミネート(RDJ & トム・クルーズ)
ただのお馬鹿映画と思いきや、戦争ものとしてもしっかり作ってありましたし、
自虐ネタや、ハリウッド批判ともとれるパロディに笑いっぱなし。
これも映画愛に溢れた作品でしたね〜。
10.永遠の子供たち
El Orfanato フアン・アントニオ・バヨナ監督
幽霊もの苦手・・・ですが、ちょっとした映像、音、台詞が全て伏線となって
ラストに集約されるのはお見事。切ない、と同時に、幸せな気持ちにもなれる不思議な作品。
以下、雑感。
今年は、「映画愛にあふれた映画」の良作が多かったですね〜!
「ザ・マジックアワー」「僕らのミライへ逆回転」「落下の王国」「トロピック・サンダー」
アプローチはそれぞれ違うものの、どれも大好きでした!
「ぐるりのこと。」「歩いても歩いても」「トウキョウソナタ」 通称アラフォー三部作。
確実に20代の頃の私だったら理解できなかった作品だと思います。
近しい人だからこそ、距離感をとるのが難しかったり、揺らいだり・・・。
逆に20代の頃に見たかったのが「イントゥ・ザ・ワイルド」。
主人公の痛々しいほどの青臭さが、切なかったです。大自然の美しさにも感動。
「人のセックスを笑うな」も大好きで、本当はベスト10に入れたかった〜。
その過激なタイトルと裏腹に、切なくて可笑しくて純粋な恋心満載のラブリーな作品でした。
井口奈己監督には今後も期待〜!
「パコと魔法の絵本」も笑いと涙が共存する素敵な映画でした。
カラフルで美しく楽しい映像もいいし、「COOL JAPAN」を象徴する映画として
世界で勝負できるんじゃないかしらと。
今年は、自分の映画の見方がよりフレキシブルになったように思います。
やっぱり、映画オフやブログを通じて知り合った映画好きな人たちとの出会いが大きく。
おかげでいつもは敬遠していたけれど、勧められたから見てみようかな〜!
なんて思った映画がおもいのほか素晴らしく。食わず嫌いは反省しよう(笑)
出会えた全ての皆様に感謝、感謝です。本当にありがとうございました。
来年も好きな映画にたくさん出会える年でありますように・・・。
| CINEMA(年間ベスト) | 23:43 | comments(6) | trackbacks(2) | ▲
好き度:★★★★☆
「PARIS」
ムーラン・ルージュの元ダンサー、ピエール(ロマン・デュリス)は、心臓病を患い、
アパートのベランダからパリの街を行きかう人々を眺めるだけの毎日を過ごしている。
姉のエリーズ(ジュリエット・ビノシュ)は、彼の身を案じて同居を始める。
パリの街に生きる様々な人々の日常を描く群像劇。
ボンジュール
見終わった後、なんだかパリジェンヌ気分に浸りたくなり
雰囲気でシャンパンなぞ飲んでみました(←影響受けやすい)
モンパルナス・タワー、サクレ・クール寺院やソルボンヌ大学など、パリの名所が次々に
スクリーンに映るたびに、どこをきりとっても絵になる街だなあ・・・とうっとり。
それぞれ悩みを抱えながらも懸命にパリで生きている人々。
3人の子供の世話と仕事におわれているシングルマザー。
美しい女子大生に恋をし、しかも二股をかけられている歴史学者。
兄に「おまえは普通すぎる」といわれて悩んでしまう建築家。
元女房と同じマルシェで今も働いている八百屋。
やっぱり大きな都市だから、物価も高く「金持ちだけの街」になりつつあったり、
仕事にあぶれた若者も多く、移民の不法入国の社会問題もはらんでいて
決して生きやすい場所ではない。
誰もがどこか満たされなくて、なんだか切ない。だから、誰かと触れ合ってつながりたいと思う。
気になる相手がいたら、じっと見つめる。恋を始めるのは、そう難しいことではないのかも。
感情をストレートに表すのが苦手な日本人としては、そのスムーズさがなんだかうらやましい。
交錯する人々の様々な想いが、空気に溶け込んでパリという街を熟成させているのかな。
これが最後かもと覚悟し、その目にやきつけるかのように
ロランがタクシーに乗ってまぶしそうに見つめる、流れていくパリの風景のなんと美しいこと
いつでも、どこかで、誰かが文句を言っている。
けれども。
ただパリの街に生きている、それだけで人生は素晴らしい。
| CINEMA(ハ行) | 23:32 | comments(0) | trackbacks(0) | ▲
遅ればせながら、ベルギービール初体験!お店はコチラ → ☆
あんまりビールは飲めない私でも、かなり美味しくいただけましたよ〜。
特に好きだったのはベルビュー・クリークの生。自然発酵のフルーツビール。
さくらんぼの味がします ルビーのような色で見た目も綺麗!
このビールのファンになったので、家飲みように瓶ビールを手に入れたかったのですが、
醸造会社の都合により、日本には輸入できなくなったみたいですね〜。
生のみお店で飲めるそうな・・・・。
おつまみは、ムール貝の白ワイン蒸し、フライドポテト、牛ホホ肉のビール煮込みをオーダー。
どれもすっごく美味しい!すこし塩味が強いので、ビールのすすむこと
カウンターで二人でさくっと飲むのもいいし、テーブルでグループでワイワイ飲むのも楽しいお店です。
ベルギービールにはまっちゃいそうな予感・・・
| 美食 | 12:53 | comments(2) | trackbacks(0) | ▲
好き度:★★★★☆
「OBSLUHOVAL JSEM ANGLICKEHO KRALE/I SERVED THE KING OF ENGLAND」
背丈は小さくても百万長者になるという大きな夢を抱く青年、ヤン(イヴァン・バルネフ)。
田舎町のホテルでレストランの見習い給仕となった彼は、順調に出世を重ねて
いつしかプラハ随一の“ホテル・パリ”で主任給仕となる。
一方、ナチスの台頭で、やがてプラハもナチスの占領下となっていく。
そんな中、ドイツ人女性リーザと出会い、恋に落ちるヤンだったが…。
小国チェコの激動の20世紀現代史を、背の小さな給仕人ヤンの目から描く。
人好きのする容姿と性格と、持ち前の利発さから、ヤンがトントン拍子に出世していく
冒頭からのシーンは、とっても楽しい。
母性本能をくすぐるのか、次々に現れる美女にもモテモテ(笑)
とうとう、ホテル・パリのレストランの給仕となったヤンは、
そこで自称「英国王の給仕人」だったという名給仕長スクシーヴァネクと出会う。
彼は客を見ただけで何をオーダーするかがわかってしまう程、究極のプロフェッショナル。
彼のことを尊敬するヤンは給仕人としての腕をメキメキとあげていく。
客のテーブルの間をトレーを持ち、くるくる回りワルツを踊るかのように優雅にサーブしていくヤン。
このレストランって、本当に美味しくて楽しい時間を過ごせそうな素敵な場所なんだよね。
しかし、ナチスに占領されて、街の様子は一変する。
美しいプラハの街に飾られるハーケンクロイツの旗のなんと無粋なこと。
ナチスの占領に断固反対する誇り高き給仕長は、レストランにナチスの将校が来ても
ドイツ語がわからない振りをする。
それでもわめく将校に対して、最後に「ドイツ語はわかりません!」とドイツ語で毅然と返す。
結局、反乱分子としてゲシュタポに逮捕されることに・・・・。
そして、最初からヤンに目をかけてくれていたお金持ちなユダヤ人も
強制収用所に移送されることになる。
二人の出会いのシーンは、走り出す列車に向けてヤンが彼におつりを渡そうと
一生懸命走るが届かず、ちゃっかりおつりを自分のものにしちゃう(笑)
どこかコミカルであったこの出会いと同じようなシチュエーションなのに、
二人の別れのシーンは、切なくてぐっとくる。
一方、ヤンはナチスの軍人であるドイツ人女性と恋に落ち結婚したため、
迫害を受けることもなく人生は順風満帆。
お金持ちになる夢も実現することになるのだが・・・・。
客観的にみれば、チェコ人の風上におけないのだけれど、
自分より小さな彼女を愛し、幸せになるために彼は一生懸命努力しただけなのだ。
老年となったヤンが、廃屋を綺麗にし鏡をいくつも部屋に並べ、映る自分の姿を見て、
過去を反芻するシーンは美しい。
描かれている時代背景は暗いものなので、いくらでも重苦しく描けると思うけど
映画のトーンは軽妙で優雅でどこか可笑しい。
だからこそ、そんな時代に翻弄されながらも生きてきたヤンの人生が、しみじみと伝わってくる。
チェコはピルスナー発祥の地だそうで、ビールが美味しい国なんですね。
なるほど、色々なシーンで、美味しそうなビールがジョッキに注がれる。
最後にビールを湛えたジョッキ越しにヤンが見たものは・・・・。
人生は、ビールのようにほろ苦く、そして味わい深い・・・・。
| CINEMA(ア行) | 12:30 | comments(2) | trackbacks(1) | ▲
好き度:★★★★☆
「EL ORFANATO」
ラウラ(ベレン・ルエダ)は、子供時代をすごした海辺の孤児院を買い取り、
夫の医師・カルロス(フェルナンド・カヨ)と7歳の息子・シモン(ロジェール・プリンセプ)と共に、
移り住む。
障害を持つ子供たちのためのホームとして再建する夢を実現するために。
シモンは、館の中で「目に見えないともだち」と会話し遊ぶことに夢中なっていたが、
いつもの空想癖だとラウラは気にもとめていなかった。
そんなある日、シモンが忽然と姿を消してしまう・・・・。
昨年みた中でもっとも記憶に残る映画「パンズ・ラビリンス」のギジェルモ・デル・トロが製作をつとめ、
監督はこれがデビュー作のJ.A.バヨナ。アカデミー外国映画賞のスペイン代表作品だそう。
壁紙が子供の手で破かれていき、そこに文字が表れるオープニング・クレジットから、
かなりセンスがいいな〜とワクワク。
30年前、ラウラが友達と孤児院の庭で楽しそうにあそぶ光景は、とてものどかで美しい。
「だるまさんが、ころんだ」って、スペインでは
「Uno, dos, tres, toca la pared」(1,2,3 壁を叩け)というのね。
そんな楽しい思い出がある孤児院だった洋館は、いまや古く、いかにも何かでそうな雰囲気・・・。
それに加え、雷の音、風でしまる窓の音、床がきしむ音などを非常に効果的に使い、
(ちょっと音が大きすぎる感じがしましたが)ラウラと同じように「何かが家の中にいる」気配を感じる。
それだけで、怖がりの私は、もうびくびく(苦笑)
(1回だけ「ひゃ〜っ!!」と叫んじゃいましたが・・・・。)
でも、どこか夢の中にいるように映像が幻想的で美しいので、ついついみいってしまう。
忽然と姿を消した息子を必死で探し続ける母親の強い愛情には心うたれる。
シモンがいっていた「見えないこどもたち」とコンタクトをとろうと霊媒師にも助力を願い、
スピリチュアルなものに懐疑的な夫と微妙な溝ができはじめ、
焦燥感と不安でぼろぼろになりながらも、断固息子を取り戻すという想いはくじけることはない。
だって、シモンって髪の毛がくりくりしてい本当に可愛いんだもの。
ラウラと一緒に宝探しゲームをするシーンが好き。それが、後につながるんだけど。
これ以外にも、ちょっとした映像や音や台詞が、全て伏線になっていて収束される結末はお見事。
明らかになるのはとても切ない事実で胸が痛くなるのですが、
同時に幸福感も感じられるラストシーンに、またもや唸りました。
素晴らしいですね。ますます、ベスト10選出が難しくなってきた・・・。
| CINEMA(ア行) | 11:53 | comments(2) | trackbacks(0) | ▲
好き度:★★★★☆
「Before the devil knows you're dead」
離婚した妻への養育費の支払いに困っていた弟ハンク(イーサン・ホーク)は、
兄アンディ(フィリップ・シーモア・ホフマン)から、両親が経営する宝石店への強盗計画を持ちかけられる。
絶対に安全で成功する計画だったはずが、一発の銃声により状況が一変。
ひとつの誤算をきっかけに事態はどんどん悪い方向に転がり始め、二人は徐々に追い詰められていく。
悲劇的な結末のはずなのに、テンションあがりました〜!
何度も時間軸が過去に戻り、そのたびに違う人間の視点から描かれる手法で
徐々に事実が明らかになっていく構成と
演技巧者揃いの俳優陣の熱演で、濃密に織りなされる人間ドラマに釘づけ
ハンクは顔もいいし、性格も優しいけれど、およそ、甲斐性のない男。
お金にいつも困っていて、娘にまで「Loser (負け犬)」呼ばわりされるヘタレぶり。
何をするにもなんだか詰めが甘い。
そんな人のいい弟を利用しようとしたアンディも、
一見社会的に成功しているかのようにみえて、実は幸せを感じてはいない。
ドラッグにおぼれて、会社のお金に手をだし、追い詰められている。
冒頭、妻とのSEXシーンからいきなり映画が始まるのには、びっくりしたけれど、
あの殺伐とした行為から、夫婦関係も微妙なことがわかる。
(マリサ・トメイはひさびさにみたけれど、ヌード綺麗だったな〜)
そうして、事件は起こり、彼らはかけがえのないものを失う。
ここから、なんとか軌道修正しようとするのだけれども、打つ手打つ手が裏目にでて、
どんどん彼らは追い詰められてしまう。
彼らが感じる焦燥感が、文字通り「ジリジリ」と音をたてて聞こえてくるよう。
少しずつアンディが父親に抱いている複雑な感情が明らかになってくるところが面白かった。
「死んだのが親父だったらよかったのに・・・・。」
強くてたくましい父親は、彼のあこがれだったんだろうね。
そんな父親に認めてもらいたくて、でもそれがかなわないから、
あえて父親とは違う生き方をしようと、無理を続けてきたんだろうな。
あと、素直な弟ばっかり可愛がってもらえているような僻みのような感情も・・・・。
弱気になった父親がアンディに
「昔は、愛情表現がよくわからなかったんだ。傷つけてすまなかった。」・・・・と。
このタイミングでそれを言うなよ。卑怯じゃないかと泣き叫ぶ演技はさすがのオスカー俳優、
フィリップ・シーモア・ホフマン。
もっと早く父親とわかりあえていたら、自分の人生は変わっていたかもしれない。
しかし、全ては遅すぎた。
この悲劇がアンディが引き起こしたことと知った父親の視点が加わることから、
俄然、緊迫感がまし、悲劇的なクライマックスへ突入!
静かな憎悪の胸に秘め、行動する父親の哀しいほどの業の深さ。
アルバート・フィニーもうまかったなあ〜。
凝った手法をとりながらも、事件の流れはわかりやすく見せ、起こった事実だけではなく、
その裏に隠されたそれぞれの秘めた思いと崩壊していく家族の姿を、徐々にうきぼりにしていく。
スピード感も心地よく、シドニー・ルメット監督の手腕はお見事
84歳にしてますますパワフル。負けてられ〜ん!!
| CINEMA(サ行) | 00:05 | comments(0) | trackbacks(0) | ▲
| CINEMA(ア行) | 12:24 | comments(2) | trackbacks(0) | ▲
| 美食 | 12:05 | comments(0) | trackbacks(0) | ▲
好き度:★★★☆☆
現代の東京を舞台に、父親のリストラをきっかけとした、ごく普通の家族の崩壊と再生を描く。
家庭では父権をふりかざすが、リストラされたことを家族に言いだせない父(香川照之)。
家族の中では、潤滑油のような存在だが、どこか満たされない思いを抱く母(小泉今日子)。
バイトばかりで家にいることがほとんどなく、急にアメリカの軍隊に入隊する長男(小柳友)。
両親に内緒で通いはじめたピアノの練習が唯一の楽しみである次男(井之脇海)。
それぞれが、なんらかの不安を抱き、どこか満たされない。
でも、家族ってこういうものかもしれない。
普通に食卓を囲んでいて、会話らしきものは成り立ってはいるけれど、誰もが言えない秘密をもっていて、
すべて心の中をさらけだして、本当にむきあっている家族なんて、実はあんまりないのかも。
そんな佐々木家は、「不協和音」のように、当初からどことなくおちつかない雰囲気をかもし出していて、
父のリストラをきっかけに、さらにぐらぐらしはじめる。
ああ。アラフォー世代の悲哀。
ずっと一社の総務畑で働いてきていきなりリストラされても、他の会社で通用するスキルなんてとりたててなくて、
面接で、一回り以上も若い担当者に「あなたは、この会社のために何を提供できますか?」の
質問に一言も答えられない。
父親の権威は失いたくないため、リストラされたことは言い出せず・・・・。
家族が常に心地よい状態でいられるように、家事をそつなくこなしてきた母親は、
それぞれ自分勝手なことをしていて、上滑りの会話しかしていない家族に対して、
とっても寂しく満たされない気持ちでいる。
自分の人生をかけて築いてきた居場所のはずなのに、こんなに心もとないのは何故だろうと・・・・。
もしかすると、今とは違う人生があったかもしれない。
「今さらやりなおすことは、できるかしら・・・?」
人生の折り返し地点にきて、今いる場所に疑問をもっちゃったら・・・。
新しい何かを始めるにはかなりのエネルギーが必要だから躊躇するけれども、
全てをあきらめるふんぎりはつかない・・・そんな中途半端な世代だよね。
何もかも嫌になって、一度は放り出したけれども、傷つき、迷い、初めて見えてくることがある。
結局は、息子も、母も、父も、元の家に帰ってきて、いつものように食卓を囲む。
居場所はここなのだ。
画面の光が、最初から白熱灯のようなオレンジ色の光で包まれていたのが、
この再生の一歩ともいえる食卓のシーンから、
白っぽい、朝の光のような光に変わった気がしたけれど気のせいかな?
ラストシーンで次男が弾くのはドビュッシーの「月の光」。
(ピアノ暦1年もたたない12歳の少年があんなに上手く弾ける曲ではないから、やはり天才?)
心に染み入るその美しい調べは、家族のこれからを静かにささやかに照らす希望の光のようだ。
| CINEMA(タ行) | 12:31 | comments(0) | trackbacks(0) | ▲
好き度:★★★★☆
美術学校に通う19歳の青年みるめ(松山ケンイチ)は、ある時、非常勤講師として赴任してきた
20歳年上の女性ユリ(永作博美)と出会い、自由奔放な彼女に振り回されるうちに、恋に落ちてしまう。
みるめにひそかに想いをよせるえんちゃん(蒼井優)や、親友の堂本(忍成修吾)はそんな彼の恋を見守るが・・・。
私、恋愛映画はあまり得意ではなく。
ロマンチックでハッピーエンドな恋も、最後に心中しちゃうような悲恋物も。
どれも、あんまりピンとこないし、感情が揺さぶられることもめったにない。
しかし、この映画は、久しぶりに自分の恋愛温度がキュイ〜ンと上昇
39歳の女が19歳の青年と恋に落ちるという夢物語ってだからではなく、
(いや、それも、ちょっとあるかも。)まっすぐに恋をするってことは、いいものだなあと思い出させてくれる。
刺激的なタイトルですが、ベッドシーンはなく、むしろその前後の二人のシーンを印象的に描いている。
床の上に直接寝るのは、背中が痛いからといって、マットを空気で膨らませながら二人でじゃれあうシーンは、
もうこちらが照れ照れになるくらい、自然で愛らしい。恋に落ちたばかりのふわふわとした高揚感満載
台詞が終わっても、二人のアドリブでいけるところまで続ける手法がとられたそうだけど、
永作博美と松山ケンイチの二人のかけ合いは、本当に自然で、素敵だった。
撮影中は、実際松山君はユリに恋をしていたそうだけれど、そうだろうな〜。
永作博美のスッピンであの愛らしさは本当に凄い。
仔猫のようにきまぐれで、自由で、ちょっと目を離すとどこかに行っちゃいそうなユリを、
とても魅力的に演じていました。
「ねぇ〜。寒いね〜。」というユリのリクエストに応え、みるめが長身の背中を丸めて、
しゅぽっとマッチをすって、石油ストーブに火をつけてあげる。
「ユリは甘えん坊なんだから〜。」とか嬉しそうに言っちゃって。
20歳も年下の男の子が、ちょっと男ぶっちゃう。すっごく、可愛いんですけどっ!!
惚れてまうやろ〜っ
そりゃ、ユリでなくても、いっぱいキスしたくなりますよ!
「だって、触ってみたかったんだも〜ん。」 って気持ちも、わかりますとも!(あ。興奮しすぎ。)
しかし、このフワフワとした楽しい時間は、ユリが既婚者だと、さらりと告白したことで一変。
おそらく初めての恋であるみるめの苦悩が始まっちゃうの。
純情な青年にとって、彼女の言動は、理解の範疇をかる〜く飛び越えているのだから。
もう、みるめは、ボロボロになってしまう・・・・。
電話がかかってきても、出れないように、だって、声を聞いたら会いたくなるからといって
携帯電話をぐるぐるまきに・・・(笑)
そんなみるめを密かに想うえんちゃんも、とっても可愛い
ユリの個展に行った時、いつもは長い髪を白いニット帽の中にいれてるんだけど、それを脱いじゃう。
長い髪をたらして、女としての対抗心をチラリと。(ま。ユリは全然気づいてないんだけど。)
腹いせにギャラリーにだしてあったお菓子を全部たいらげちゃうのだ(笑)
ユリとのことで落ち込んでいるみるめに対しても
「ばっかじゃない!!連絡すればいいじゃん!会いたかったら会えばいいじゃん!」と怒っちゃったり。
彼が自分を見てくれないのは哀しいけれど、落ち込んでいる彼を見るのはもっと哀しいんだよね。
自分の気持ちを抑えて、素直になれず、強がるえんちゃんのいじらしいこと・・・・
嫌になるくらい感情的になって、じたばたして、気持ちが空回りして、へとへとになる。
頭ではわかっていても、心は制御不能。
周りからみたら滑稽で、かっこ悪いことかもしれないけれど。
人を好きになるってそういうことだ。 だから、私はきっと笑えない。
| CINEMA(ハ行) | 12:22 | comments(4) | trackbacks(0) | ▲
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