好き度:★★★★☆キューバのカストロ議長に30時間に及ぶインタビューを中心としたドキュメンタリー。
オリバーストーン監督の色々な質問(誰も怖くて聞けないようなことも)に
次々よどみなく、時にはユーモアも交えて答える彼は、とっても魅力的です。
でも、太い眉毛の下で光る眼は、完全に自分が人の眼にどう映るかがわかっている者のそれで。
自分にとっては不利になりかねない微妙な質問については、とてもうまく話題をすりかえてしまう。
革命家としての不屈の意志、そして恐ろしく切れる頭脳。
これがアメリカが何回も暗殺を計画しては失敗し、生き延びてきている男なんですね。
普通にしゃべって動いている彼が映ってるだけで物凄い貴重な映像です。
議長が街中にでて人々の輪の中にすすんではいっていくシーンがありますが
人々は口々に「コマンダンテ!」「フィデル!」と叫び、みずから握手を求めていきます。
昔、メキシコにいた時に同居人に何人かキューバ出身者がいて
みんなカストロ議長を心から尊敬し、支持していてびっくりしたのを覚えている。
「国民を虐げている独裁者じゃないの?」
私が日本で見聞きしているニュースや情報は
あくまでもアメリカ寄りのものだったのだと気づかされたのを思い出しました。
確かに、自分の理想の国家建設に燃え、それを国民に押しつけているという意味では独裁者ですが、
(事実、経済的にはかなり苦しいはずで)
力のみで押さえつけているのであれば、これほど国民には慕われないでしょう。
彼自身が語る言葉はどれも信念にみちあふれ、
この人のために命を捨てることができる人はきっとたくさんいるんだろうと想像できます。
しかし、アメリカ国内では上映禁止だと。
ちっちゃすぎる・・・・。あまりにもアメリカで伝えられているカストロ議長像とは違うんだろうな。
私、基本的にオリバー・ストーン監督作品は大嫌いです。
いっつも見終わったあとに物凄く胸焼けして気持ち悪くなるので最近の作品はみてないのですが、
この映画はよかった。