好き度:★★★★☆「俺を愛しているのであれば、死ぬために手を貸して欲しい。」
そう愛する人に言われたらどうしますか?
主人公のラモンは20代の時に首の骨を折り、
首から下が全くうごかない四肢障害を負ってしまう。
生かされている」だけで、今までの人生もそして未来にも
生きる意味をみいだせないまま28年間寝たきりの生活を送ってきた。
そして自ら死ぬ、すなわち、安楽死の権利を国に対して主張するのだ。
スペインではもちろん安楽死は認められない。彼の願いは却下される。
彼自身の苦しみは痛いほどわかる。
しかし、周りで支えている家族の立場なら・・・?
どうして自分の手で殺すことができるだろう。
一緒に住んでいる父、兄、義姉、甥。
それぞれの想いがとてもリアルです。
最終的に、家族の手を借りることなくラモンは自ら死を選ぶのだけれども。
生きること、死ぬことの意味を真正面からつきつけられる作品。
でも、青い海を眼下にまるで鳥が飛んでいるかのような躍動感あふれる映像が、
随所にでてきて、不思議とどんよりした気持ちにはならない。
それは、ラモンが渇望してやまなかった自由の象徴、魂の解放を意味するから。
実在の人物の話。
彼が口に筆を加えて綴った詩や手紙が本になっていてこちらもお勧め。