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『バーダー・マインホフ 理想の果てに』


好き度:★★★★☆
「Der Baader Meinhof Komplex」
1960年代後半から1970年代にかけて、極左地下組織として世の中を震撼させた
ドイツ赤軍(RAF)の10年間の軌跡。

今年度アカデミー賞外国映画賞にドイツ代表としてノミネートされた本作品。
実話を基にした150分にもわたる力作で、私は「おくりびと」より見応えのあるこちらのほうが好み。

冒頭、反米学生デモが暴動にかわり、
警察によって武力弾圧をうけるシーンは、実際その場にいるかのような臨場感あふれるもので、
音楽も盛り上がり、やけに床が揺れるな〜、低音が響いてるのか?と思ったら地震だったよ!
かなり大きかったと思ったのですが、だれも動じず上映続行・・・。
いや〜、私もう少し揺れが続いていたら逃げ出す勢いでしたよ。怖かった(涙)

ベトナム戦争を始めたアメリカ帝国主義に反発し、
犠牲になっている人々を解放しようと自分達の信念を実現するべく行動しようとする若者達。
間違った体制を自分達の手で変えたい。そんな一種の熱につつまれていた時代だったんだね。
ドイツの場合は、ナチスの暴走を許した悔恨の念が、さらに彼らを突き動かす原動力となる。
「不条理な出来事に対して、断固抗議し、行動にうつさなければならない。」
血気盛んなグループのリーダー、アンドレス・バーダー(モーリッツ・ブライブトロイ)、
彼の恋人のグドルン・エンスリン(ヨハンナ・ヴォカレク)が、血の通った演技でとてもよかった。
彼らが語る理想は、確かに青臭いのだけれども、
正論である部分もあり、全否定はできないんだよね。
社会を変える必要があると感じていたジャーナリストである
ウルリケ・マインホフ(マルティナ・ゲデック)も、グループに身を投じることになる。

ここから彼らが起こす反社会的行動の数々が怒涛のように描かれる。
銀行強盗、誘拐、爆弾テロ・・・・。
ただ情熱のおもむくままにバーダー達が起こす行動に、
マインホフがジャーナリストのスキルをもって、理論や思想を世間にむけて発信し、
それらの行動に意味を与える。
彼らの暴力的アプローチには共感を持つことはできないのだけれども、
何かに突き動かされるように破壊的行動を繰り返す彼らから目が離せなくなる。
一体、彼らが目指すもの、行き着く先はどこなのかと・・・・。
最初はうまくいっていたが、主要メンバーの逮捕から徐々に歯車が狂いはじめ、
当初描いていた理想とは、RAFの行動はかけ離れていき、破滅へ向かうことになるのだが。

体制側に反抗する一手段として、時として武力闘争が必要なこともあるかもしれないが、
手段ではなく、それ自体が目的となってしまった彼らの暴走にはやはり感情移入はできない。
監督は彼らをヒーローのように扱うことなく、
あくまでもおこった事実を冷静な視点で描ききっているからだと思うが、
自分の命を賭け、無謀なテロ行為に身を投じていくのは彼らの自己陶酔にしかみえないのだ。
大衆の賛同を得て巻き込むことにより、社会の変革への大きな流れをつくり
体制を変えていくのが革命のはずなのに・・・。
最終的に当初の理想とはかけはなれたところで、破滅していった彼らの末路にため息をつく。
と同時に、彼らがあの時代に放った凄まじいエネルギーにどこか惹かれるのだ。

いぶし銀のさすがの演技をみせたブルーノ・ガンツ演じる刑事庁長官が呟く台詞が心に響く。
「賛同するわけではない。だが、我々は、彼らの動機を理解しなければならない。」

最近、「愛を読むひと」「セントアンナの奇跡」「縞模様のパジャマの少年」と、
ドイツの歴史に触れる映画を見ることが多かったのだけれど、この作品が一番好きだな。

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『バーダー・マインホフ 理想の果てに』 Der Baader Meinhof Komplex
青春暴走ものとしても魅力的。社会派視点で考察しがいもあり。この手の映画が私はとても好きらしい。 そして、今までありがとう、ムービーアイ! 1970年代にヨーロッパを震撼させた、10年に及ぶドイツ赤軍(RAF)による数々の事件の全貌を明らかにしたシュテファン

| かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY | 2009/08/26 1:34 PM |