<< 『バンク・ジョブ』 | main | 『ワールド・オブ・ライズ』 >>

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - |

『ラスト・コーション』


好き度:★★★☆☆
「LUST CAUTION /色、戒」
1942年、日本の傀儡政権下の上海。
抗日運動の地下組織の一員であるワン(タン・ウェイ)は、政府の特務機関のリーダー、
イー(トニー・レオン)の暗殺計画のため、色仕掛けで彼の愛人になることに成功する。
お互いに猜疑心を持ちながらも、何かから逃れるように、激しく求め合う二人。
逢瀬を重ねるたびに、いつしか二人の間には・・・・。

中国上映時にはその過激さゆえ、ベッドシーンがほとんどカットされたため、
ノーカット版が見られる香港に、人々は大挙して見に行ったという噂。

・・・ってそこじゃなく(笑)

やりきれないほど哀しいお話なので、私の好みではないのですが、
自分の中にいつまでも説明がつかない余韻が残る作品で、それをどう言葉に置き換えてよいのやら。

ベッドシーンは、確かに濃厚で大胆ですが、官能的には感じなかったです。
どちらが相手を屈服させるかの、戦いのようで。激しく、同時に、とても哀しい。
お互いをむさぼりつくすように、傷つけあいながら、感じる苦痛によってのみ
生きていることを実感する刹那的な愛、のようなもの。
でも、お互いの身も心もすべてをさらけだす行為であったからこそ、
相手の救いようのない孤独、怒り、哀しみ、恐れに触れて、心惹かれあうようになったのかなと。

日本の犬と周りから蔑まされながらも、任務を忠実に実行し、
旧友まで処刑しなければならなかった自分を自嘲するイー。
そんな彼に寄り添い、故国の美しい歌で癒すワン。
彼女の歌に、初めてイーが涙するシーンがとても美しい。
誰も信じず、殺されるより先に相手を殺すことで生き延びてきたイーにとって、
ワンはつかの間でも自身の孤独を忘れさせてくれる愛しい存在となりつつあった。

しかし、二人の心が通じ合った瞬間に、破滅は訪れる。

ワンがマイ夫人を演じきれなくなったのは、やはり彼女もまたイーを愛してしまったからで、
薬を飲まなかったのも、イーに最後に会って、彼によって殺されたいと願ったんだろうな。

ワンが寝起きしていたベッドに呆然と座りながら、彼女の処刑時刻を告げる10時の時計の音を聞くイー。
その空虚な表情でイーの耐え難い喪失感が、痛いほど伝わってくる。
自身の運命もまもなく潰えるのがわかっていながら、それでも任務を実行しなければならない。
そう生きるしかない男の悲哀。なんと過酷。

原題の「色」は、欲情、「戒」は、戒律、警告などの意味だそう。
「色」に溺れすぎないように「戒」はある程度、必要なのだろうけれども、
逆に「戒」がきつければきついほど、「色」を抑えきれなくなるのが、人間ってやつで。

私は「色」というのは、単なる肉欲という意味ではなく、人があたりまえにもつ欲求や感情だと思いました。
それらがなすすべもなく、暗く大きな時代の流れに呑み込まれていくさまは
あまりにも哀しい、けれど、何故か美しいと思えてしまうのがこの映画の凄さなんだろうな。
(・・・でも、好みじゃないの〜。)

スポンサーサイト

| - | 12:58 | - | - |

Comment

映画館で見た時はあまり印象に残らなかったのですが、
スパイになるまでの XXX(笑)な過程や、なってからの XXX(笑)な状況や、
薬を飲まなかったところ、処刑のシーンなどなど、今になって思い返すと、
なかなかいいストーリー&エンディングだったような気がしてきました。

| ひで | 2008/12/15 4:45 AM |

>ひでさん

うん。好みではないですが、いい映画だと思いました〜。
タン・ウェイがとっても綺麗でしたね〜。あと、上海の街並みも。

ちょっとした愛国心で身を投じた抗日活動なのに、
いつのまにか組織に組み込まれて、自身を犠牲にせざるをえなかった若者たちがなんとも不憫で・・・・。

| Minita | 2008/12/15 1:04 PM |

Submit Comment









Trackback URL

http://minitayo.jugem.jp/trackback/305

Trackback