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『ガチ☆ボーイ』

好き度:★★★★☆
 一晩眠ってしまうとその日あったことを全て忘れてしまうという高次脳機能障害を抱える青年が
学生プロレスを通じて、生きる実感を取り戻す笑い&涙&爽快感満載な作品。

その日の記憶が翌日には残らない主人公というと、「メメント」を思い出します。
メメントの主人公は、忘れてはいけないことを体中に刺青をしていましたが、
この映画の五十嵐(佐藤隆太)は、毎日の出来事を全てメモにし、ポラロイド写真をとって記録します。
「明日の僕へ」と記された大学ノートは、日に日に分厚いものになっていくわけで
それを毎朝読んで、記憶の補完をしないといけない。

もう、忘れてしまいたいことってあるじゃないですか。
一晩寝て、翌日は生まれ変った新しい自分になりたいなあって。

でも、彼の苦しみを見ると、いいことも嫌なことも含め、連続した記憶があってこそ自分で。
そんなあたりまえのことがどれほどありがたいことか痛感します。

誰も笑わないベタベタなギャグでも、一人だけ毎回おおウケ。
「こんなギャグで笑えるのかよ!」とつっこんでいた周りも、彼の事情を知ってからは黙っちゃう。

好きな女の子に告白するシーン。
女の子から涙ながらに「ごめん。それ聞くの4回目なんだ・・・。」と逆告白される。
ここはあまりにも切なかったです。それを言わなきゃいけない女の子の気持ちも。
毎回、この出来事をメモに残せない彼の気持ちも。

あと、お父さん(泉谷しげる)にも泣かされました。
大学在学中に司法試験の一次試験を通るくらい優秀で、
その将来を誰よりも楽しみにしていた息子が新しいことをまったく覚えられなくなってしまった。
そんな息子をどう扱っていいかわからず、相変わらず近所の人には息子自慢をする。
それを息子はやりきれない思いでみているんだけど。
「プロレスなんてやってる場合か!」など頑固親父ぶりを発揮していましたが、
息子自身が一番苦しんでいることを知ることになるんだよね。
そして、必死に戦う息子をリングサイドで見ている表情、サイコ〜!でした。
こういう不器用な親父が本当にうまいね。

ラストのガチンコ勝負のシーンは、ド迫力本当に痛そうで痛そうで・・・ハラハラしました。
圧倒的に強いチャンピオンに、どれだけ痛めつけられても絶対ギブアップしない。
練習した技の数々は本当は覚えていないし、強くもなっていないはず。
なのに、彼が忘れても体が覚えている。傷を受けた分、彼自身に刻まれている。
自分の体のあざや痛みが、唯一昨日から続いてる自分の存在の証。

そして、ラストの目の覚めるような・・・・。
まるでリングサイドにいるかのように「おぉ〜っ!!」と叫びたくなります。

主人公はハンディキャップを抱えている設定ですが、描いていることは普遍的なテーマ。
どんなに壁が高くても、自分の持っているエネルギーを思いきりぶつけて絶対あきらめない。
そんなバカ正直で純粋でまっすぐな人の姿に、やっぱり私は弱いのです。

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