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『ディア・ドクター』


好き度:★★★★☆
かつては無医村であった山間の小さな村で、「神様よりも仏様よりもありがたい」と
村人から絶大なる信頼をよせられていた医師、伊野(笑福亭鶴瓶)が突然失踪する。
刑事たちによる事件の捜査がすすむにつれ、彼が隠していた嘘が徐々に明らかに・・・。

前作「ゆれる」が非常に素晴らしかった西川監督、待望の新作。
「ゆれる」の時ほど鮮烈さを感じなかったけれども、
人間の心の澱を丁寧にすくうように紡がれる人間ドラマは、
今回も見応えがあり、最後までひきつけられた。

主役に抜擢された鶴瓶は実に面白いキャラクターだと思う。
トーク番組を見ると、涙もろく情にあつい普通の人のいいおっさんのようだけれども、
演技になると見方によっては、善人にも、悪人にもみえるし、
笑っているようでどこか悲しそうに見え、泣いていてもどこか可笑しさを感じさせる。
黒か、白かの二者択一では、語ることのできない伊野にはぴったりのキャスティングだったと思う。
脇役は香川照之や余貴美子など説得力ある演技をして光っていたし。手堅いな〜。

「以前から怪しいなとは思っていたんですよね〜。」
“神様”のように持ち上げていた村人たちの、手のひらを返したような反応。
普通の人々の薄情さがサラリと描かれる巧さにニヤニヤしてしまう。

伊野と相馬(瑛太)の食い違う会話は、一番印象的なシーン。
可笑しくて笑いながらも切なかった。

期待されたら、できるだけそれに応えたい。
ひとつ、うまくいけば次も頑張ろうと思う。
そうやって、球がどんどん飛んでくれば、打ち返し続けるだろう、私だって。

ラストシーン。かづ子(八千草薫)を心配して現れる伊野。そして微笑みを交わす二人。
私は彼を責められるかな・・・・。

『チェイサー』


好き度:★★★★☆

「The Chaser」
次々にデリヘル嬢がいなくなることを不審に思った
元刑事のデリヘル経営者ジュンホ(キム・ユンソク)は、
ある時、怪しい男、ヨンミン(ハ・ジョンウ)をつかまえ、警察にひきわたす。
「女たちは俺が殺した。」と淡々と告白するヨンミンだが、物証は何もない。
最後にいなくなったミジン(ソ・ヨンヒ)が生きていると確信したジュンホは、
彼女を探し始めるが・・・。

これほど、観ている者が望まない方へ方へと展開され、絶望感を味あわせる作品も珍しい。


実際の猟奇的連続殺人事件をモチーフにしていて、
殺害シーンもかなりリアルで目をそむけてしまうほど。
犯人は普通のテンションで被害者にノミをうちこむんだもの。怖すぎです

残虐シーンが苦手なので、本来は好きな映画ではないんだけれど、
これがいつのまにかぐいぐい映画にひきこまれるの。
夜の帳がおりた暗く細くアップダウンの激しい路地を、主人公が全力で走る走る走る!
しかし、「スラムドッグ」とは違い、これは絶望への疾走で、望む場所には決して到達できない。

観ている者には、すべての状況がわかっているため、
まるで見当違いの方向に迷走する警察や主人公に対して、ギリギリと歯噛みをしたくなる。
希望的観測はことごとく裏切られ、囚われの身となっていて今にも命が尽きそうな女性と
同じような絶望感を味わうはめになる。

煙草屋の女主人がぺらぺらしゃべってしまうシーンは、本当に心臓がバクバクし、
次に続くシーンでは、「あああああ・・・・。」とあまりの悲惨さに固まってしまった。

ヒーローなんていない。誰も助けてはくれない。

実際に、何十人も、恐怖におびえ、絶望感を味わいながら、無残に殺されていったのだと思うと
激しい怒りをおぼえずにはいられない。

否応なしに、強引に映画の世界に引きずり込む強いパワーのある作品。
これが初監督作品だとはすごいな。

『ダウト〜あるカトリック学校で〜』


好き度:★★★☆☆
「Doubt」
ケネディ大統領が暗殺された翌年、1964年のNY・ブロンクスのカトリック学校。
厳格な校長シスター・アロイシス(メリル・ストリープ)は、他の教師の目撃談から、
進歩的な考え方の持ち主で人気者のフリン神父(フィリップ・シーモア・ホフマン)が、
校内で唯一の黒人男子生徒と“不適切な関係”にあるのではとの疑いをもつ…。

本作品からなんと4人の俳優がアカデミー賞にノミネート!
それも納得の熱演を堪能。おなかいっぱい。

規律・規範を遵守することが何より大切であるシスター・アロイシスにとって、
細かいことは気にせず、より開かれた教会を目指して改革を実施し、
かつ、気さくな人柄で人気者のフリン神父は
まさに「いけすかない」奴で、目の上のたんこぶなんだよね。

この二人の差が顕著に表れていたのが食事風景。
シスター達は質素な食事で、私語も禁止でみんな黙々と食べて、いかにもまずそうで。
一方、神父たちは、肉やワインを食べ、ガハハ〜と笑いながら食事を楽しんでいる。

相容れない嫌いな相手の弱みを握ったら、人はどう行動するのか?

シスター・アロイシスの場合は、相手を排除する方向へ向かう。
客観的な証拠もない自分の心証のみを根拠として。

「私には、わかるのです。」

神父を追い詰めていく彼女の執拗なまでの熱心さは、狂気とさえ思えてくる。

「白」なのか、それとも「黒」なのか。どちらとでもとれるようなつかめない神父を
フィリップ・シーモア・ホフマンが、これ以上ないってくらい巧く演じていたから
シスターの疑惑がどんどんふくれあがっていくのも、理解できてしまう。

そして、最終的に二人が徹底的にやりあうシーンは、すごい迫力でした・・・。
どちらも巧い、巧すぎて、気持ち悪い・・・。
近くにいたら、二人の毒気にあてられて、貧血起こしてます。

でも、実はこのクライマックスシーンよりも、シスター・アロイシスが涙するラストシーンのほうが、
メリル・ストリープの演技にくらっときました。

神の教えに従い、規律にのっとって行動することを信条としていたはずなのに・・・。
疑惑にとらわれ、己の信条を捻じ曲げてでも、相手を陥れることに執心してしまった自分。
結局は、自分自身のあり方についても確信がもてなくなり、身動きできなくなってしまった。
あの涙は、とても哀れでした。


メリル・ストリープといえば、 「エンジェルス・イン・アメリカ」 でのアル・パチーノとの
演技対決も素晴らしかったです。
アル・パチーノが悪徳弁護士で、彼女は、彼にはめられ電気椅子送りにされた女性の幽霊。
抑えた憎しみの表情がそれはそれは恐ろしく、とり殺されそうな迫力でした
陰険な女性の役をやらせたら、ピカいちですね。

『ダイアナの選択』


好き度:★★★★☆
「The life before her eyes」
郊外の美しい住宅で優しい夫と愛する娘と幸せに暮らすダイアナ(ユマ・サーマン)。
彼女は17歳の時に高校で起こった銃乱射事件に巻き込まれ、
まもなく事件から15年が経とうする今でもその記憶が彼女を苦しめていた。
当時、ダイアナ(エヴァン・レイチェル・ウッド)は親友モーリーン(エバ・アムーリ)と一緒にいる時に
犯人に銃を突きつけられ、「どちらを殺す?」と残酷な選択を迫られた・・・。

なんとも心が締め付けられる映画でした。とても美しい。
これはもう少し時間がたってから詳しいレビューを書こうかなと思う。

できるだけ一切の情報をシャットアウトして、映画館に足を運んでほしい映画だな〜。

『罪とか罰とか』


好き度:★★★☆☆
何をやってもうまくいかない落ち目のグラビアアイドル円城寺あやめ(成海璃子)は、
ひょんなことから一日警察署長をつとめることに。
そこで再会した刑事で元彼の春樹(永山絢斗)は、実は連続殺人鬼だった・・・。

ケラリーノ・サンドロヴィッチ氏演出の舞台は見たことないのですが、
ゆるゆるTVドラマ「時効警察」の彼の演出回は結構好きで(特に「早め亭」や「多め亭」!!)
さて、映画はどういう作品を撮るのかな〜と、初日に鑑賞。
でも、舞台挨拶の回は避けた。 だって2000円するんだよ!?

全体として、一人の女の子の成長物語の体裁をとってるけれど、
メインストーリーは次第にどうでもよくなって、次々に登場する個性的過ぎるキャラの面々が
くりだす小ネタを楽しむうちに、いつのまにかシュールでブラックなケラ様ワールドにとりこまれる。

でも、めちゃくちゃなようでバラバラにみえたそれぞれのエピソードが、
上手い具合に(多少強引に?)つながって収拾つくから不思議だわ。

最初から段田安則は、反則でしょう〜。

コンビニ強盗を目論む3人組のかみ合わない会話はワロタ。
スタンガンで戯れるくだりなど最高!
特に一番凶暴キャラを演じた奥奈恵が、キレまくりの大熱演です。凄いわ

個人的に大好きだったのは「麻生久美子」&「モザイク」&「あ。かんじゃった by 犬山イヌ子」 
ただ、虫や人間がグシャってつぶされる笑いは、生理的に駄目だったので・・・。
好き度はちょっとさがりました。

しかし、こういう世界観をつくれる人はそうそういないね。
一度、頭の中をのぞいてみたい・・・・・。
ちなみに、ケラリーノ・サンドロヴィッチ氏のブログはかなりオモシロイ♪

『チェンジリング』


好き度:★★★★☆
「CHANGELING」
1928年のロサンゼルス。
突如行方不明になり、5ヵ月後に警察に保護されて戻ってきた息子は別人だった・・・。
自分の息子を取り戻すために闘うクリスティン・コリンズ(アンジェリーナ・ジョリー)を描く。

オープニングのクリスティンと息子の会話。
息子が学校で喧嘩をしたと聴いたら、その理由をなぜかと問う。
どうして、お父さんはいなくなっちゃったの?という難しい質問にも
ごまかしたりしないでちゃんと母は答える。
この短いシークエンスから、二人の母子の関係がとてもほほえましく、
ささやかながらも幸せな毎日を送っていることがわかる。
だから、後に起こる悲劇に、彼女がどんな気持ちで立ち向かうことになるのか、
すんなりその心に寄り添うことができるのだよね。
そして、一緒にでかける約束をしていた休日に、突如、出勤をしなければいけなくなった母親を、
寂しさを抑えながらも見送る息子の表情が彼女が乗る路面電車の窓越しに後ろに流れていく。
これが二人の別れになるだろうとの予感に包まれる。

突然、行方不明になった息子。てがかりは何もない。

当時のロス警察は腐敗しきっていて、捜索は遅々として進まず、
ようやく5ヶ月後にクリスティンの元に警察が連れてきたのは、なんと別人。

どれほど息子ではないといっても、子供の成長は早く5ヶ月も会っていなかったら
違和感をおぼえるのも無理はない。そのうち慣れるとの無茶な主張を繰り返すロス警察。
親が実の子供を間違えるなんてことがあるだろうか?
息子はまだ見つかっていない。捜索を続けて欲しいと懇願するクリスティンを
警察にたてつく者「コード12」として、あろうことか精神病院に強制入院させるのだ。

これが実話だという・・・。

患者の人権をまるっきり無視した当時の精神病院での扱いは、あまりにも恐ろしいもので。
普通の人間ならまいってしまい、本当におかしくなってしまうだろう。
あの「カッコーの巣の上で」を思い出した。
そんな中、クリスティンを、励まし体を張って助ける売春婦キャロル役の
エイミー・ライアンがとても素晴らしかった。
彼女のおかげで、クリスティンは正気を保ち、息子を取り戻すために闘う決心ができたのだよね。

牧師(ジョン・マルコヴィッチ)の助力もあり、ようやく精神病院を出られたクリスティンは、
警察組織と対峙することを決意する。

体制側の理不尽な暴力に抗うことがどれほど困難きわまりないものか。
ましてや、女性の地位など今とは比べ物にはならないほど低かった時代に。
そして、頼る者もいないシングルマザーの立場ではどんなにか心細かったことか。
それでも、彼女は息子を決してあきらめることはなかった。

ブルーグレイの色調の画面に、クリスティンの唇の赤色が際立つ。
泣きながら「My son」と叫び、怒りのために震え、時には、冷静に言葉を紡ぐ。
女だってやるときはやるし、いうべきときにいうべき言葉がある。
息子に対する一途な愛情で、母親はここまで強くなれるものなのだ。
監督がクリスティンに注ぐ視線は、そんな母親に対する尊敬と愛情に満ちている。

先日の村上春樹氏の受賞スピーチの一節、「壁と卵」を思い出した。
『高く堅固な壁と、壁にぶつかりつぶれてしまう卵があったら、私は常に卵の側に立つ』

大きな権力の前に、声をかきけされ、ふみつぶされ、ないがしろにされるのはいつも市井の人々。
その側に立つことがが作家である自分のつとめだと村上氏は述べていたが、
イーストウッド監督も、同じ思いで映画にたずさわっているのではないかな。
そして、彼は、真実を見極める眼を持ち、一切ぶれることなく
それを芸術にまで昇華させて確実に観客に伝える手腕を持つ監督だと改めて思った。

警察の不正や怠慢を白日の下にさらし、連続殺人事件も一応の決着をみたところで、
普通なら、ジ・エンドだと思うけれど、監督はここで終わらせない。

息子についてのある事実を知り、クリスティンは「HOPEを手にした」と静かに微笑む。
どれほど客観的状況が息子の死をさすものであっても、母親は「その存在を感じる」限り、
希望を捨て去ることはできないんだよね。

監督自身が作曲した美しく静かなメイン・テーマが、心に深く染み渡り、
ラストにながれる字幕から、彼女のそのあとの人生に思いを馳せる。
彼女は「希望」といったけれど、その事実はあまりにも残酷ではなかったかと。

長さをまったく感じない素晴らしい映画でした。

この作品以上と言われている「グラン・トリノ」。昔気質の頑固親父がツボの私としても、早くみたい!

『天使の眼、野獣の街』


好き度:★★★★☆

 「跟蹤/EYE IN THE SKY」
凶悪犯罪の容疑者たちの監視と追跡を専門に行う香港警察刑事情報課・監視班。
新たに配属された新人女性警官ホー(ケイト・ツィ)は、
監視班のリーダー、ウォン(サイモン・ヤム)の厳しい指導の下、現場で鍛え上げられていく。
その頃、香港では、大胆かつ鮮やかな手口の宝石強盗が頻発していた。
用心深いリーダー、チャン(レオン・カーファイ)が率いる強盗グループを追い詰めるべく、
ホーをはじめ監視班は、監視カメラがとらえた情報を手がかりに張り込みを開始するが・・・。

「エグザイル/絆」があまりにも素敵だったため、香港ムービーもちょっと見たくなりまして。
ジョニー・トー監督作品で脚本をてがけてきたヤウ・ナイホン初監督作品。
ストーリーは、宝石強盗グループを徹底的な監視と情報収集で追いつめ、
つかまえるというシンプルなものなんですが、
スピーディーな展開が続き、終始緊迫感があふれ、最後まで眼がはなせなかった!
しかし、金曜日の夜に見に行ったけれど、観客は10人もいなかったな〜。面白いのに

最初のくだり、ホーの現場実地訓練と、宝石強盗が行われるシーンが同時進行し、
交互にみせるところからもう面白くてすぐにストーリーにひきこまれる。
一番最初で、ホーとチャンはたまたま接点を持つのだけれど、
それが後のハラハラするシーンにつながっていくところなんか、脚本上手いわ。

ベテラン捜査官のウォンがホーに言う台詞。
「監視するっていうのは、天上の目(EYE IN THE SKY)になることだ。」

その言葉を象徴するかのように、映画では上空からの俯瞰ショットが多いんだよね。
監視カメラの映像であったり、
周辺の高い建物のビルの上から現場を見張るチャンの視点だったり、
また、強盗グループを監視する監視班の視点だったり。
まるで自分が『EYE IN THE SKY』になったような気分になってしまうところが面白く。

ドラマ「24」のCTUみたいにハイテクでデジタルな要素はなく、
自分の気配を消して、人込みの中、普通の人のように溶け込み、自分の足で歩き、
自分の目で監視して追跡するさまが、アナログそのものなんだけれど、
これがとっても人間臭くていいんだよね。
派手な逮捕劇があるわけでもないのに、地味な情報収集活動だけで、
これだけ緊迫感ある作品にしあがっているところが、感心しちゃうのだ。

演出も映像もよいし、役者の演技も見応えあり!

「犬頭」ウォンを演じたサイモン・ヤムは、メタボな中年男風にみせながらも
それで相手を油断させるやり手のベテラン捜査員の貫禄を漂わせ
同時に、温かみと包容力があり、ホーを一人前にしようとする上司ぶりがいいかんじ。

チャン役のレオン・カーファイは、
一見したところ、七三分けのごく普通のサラリーマンにしか見えないのに、
内には凶暴な本性を秘めている悪党を見事に演じきっていました。
瞬間的に本性があらわれるシーンは、本当にぞっとしたもの・・・。

そして、本作品が映画デビューとなるホー役のケイト・ツィ。
コードネームを「子豚」とつけられるくらい普通っぽい女の子なんだけれど、
切れ長で凛とした光を放つ強い眼がとっても印象的でした。
現場でもまれて徐々に監視員として成長していく姿がとてもいい。
ラスト近くの、スローモーションでの雨のシーンが美しかったな・・・。
日本の若手女優にはちょっといない雰囲気。

『誰も守ってくれない』


好き度:★★★☆☆
小学生姉妹殺害事件の容疑者として未成年の兄が逮捕された沙織(志田未来)と
彼女を保護する任務についた刑事・勝浦(佐藤浩市)。
「容疑者の家族」と「容疑者側を守る刑事」はマスコミと世間の注目を浴び、
二人は徐々に追い詰められていく・・・・。

映画公開前にテレビで放映された前提となるドラマ「誰も守れない」のラストシークエンスは
天使のような「リベラ」の歌声にのせて、楽しげな沙織の学園生活が
スローモーションで描かれており、やがて、彼女にとってあたりまえのこの世界が
失われていくことを予感させる印象的なものでしたが、
それがそのまま映画のオープニングとなっていました。

世間の注目をあびる事件の場合、加害者の家族がマスコミや世間の攻撃にさらされ、
自殺するケースもあるそうで、それを防ぐために「容疑者側の家族」を保護するという
警察の非公式な任務に焦点をあてた作品。なかなか興味深かったです。

容疑者が未成年の場合、マスコミでは実名報道はされないけれども
ネットでは顔写真やら個人情報がすぐにアップされるよね。

「ネットの世界では情報を一番もっている奴がカリスマだ!」

映画でも、容疑者のみならず、沙織の顔写真や刑事の情報までさらされ、
「祭りだ〜」と無責任にあおりたてる顔の見えない人、人、人。絶対多数の暴力。
二人は次第に追い詰められていき、
ネットの住人の行動は、実際に二人を攻撃するほどエスカレートしていくのですが、
正直、ここまでやるだろうか?と疑問でした。本当にあった話なのかな?
だとしたら、恐ろしすぎる。

「凶悪事件の容疑者」。誰からみても絶対悪という存在。
容疑者の家族にも「死んで詫びろ」と迫る。
なんだか、将来に対する不安や憤りを思いっきりぶつけて溜飲をさげているような・・・。
非常に陰湿で、空気がこわばっていて今の社会は気持ち悪いね。

周りから冷たい攻撃的な言葉を浴び、友達も離れていき、
いきなり独りでいろいろなことを背負わされ、じっと耐える15歳の沙織。
志田未来ちゃんは、目でいろんな感情を表現していてやっぱり上手いと思いました。

色々考えさせられた作品でしたが、一点どうしても納得がいかないことが・・・。

勝浦が沙織をつれて避難した先が、どうしてあのペンションなんだろうか?
普通、子供を殺された夫婦の気持ちを考えれば、絶対連れて行かないよね?
どんだけ交友関係狭いのよ〜!と突っ込みました。
まあ。被害者側の家族の視点もいれたかったんだろうけど。

『007/慰めの報酬』


好き度:★★★★☆
「QUANTUM OF SOLACE」
愛する女性ヴェスパーに死なれてしまったジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は
彼女の裏に存在していた組織を追う・・・。

前作「カジノ・ロワイヤル」の続編。

開始早々、派手なカーアクションが始まり、テンションあがりましたよ〜!
イタリア、ハイチ、オーストリア、ボリビアと、世界各地で繰り広げられるアクションは
肉弾戦、水上戦、空中戦となんでもあり〜!
前作と同様に、ダニエル・クレイグは体を張っていて迫力満点。
ほとんどスタントダブルを使ってないそうですね。
傷つきながら、生身のボンドが戦っているさまが、SO COOL文句なく楽しめます♪

今回、Mの命令にも従わず、かなり強引に捜査を進めるボンド。行く先々で人が死ぬのだよね〜。
愛する女性を失ったその復讐をするために暴走しはじめたとMI6に判断され、孤立無援となる。
しかし、あくまでもクールに黙々とターゲットに迫り任務を遂行しようとする彼はかっこよすぎ。

確かに今回のボンドは、簡単に殺しすぎのような・・・スマートではない。
でも、それは怒りに任せてということではないように思えました。
まだ、スパイとしての経験が浅いから、敵にもおいこまれやすく、手加減もできない故なのかなと。
復讐というだけなら、ドミニクも、ヴェスパーの元彼もきっと殺しているだろうし。

そして、今回の悪役ドミニク・グリーン役のマチュー・アマルリックは、
目だけで狂気を表現できる俳優さんですね〜。さすが「潜水服」の人!
爬虫類的な冷血さと執念深さを感じさせる演技はさすがです!

エコロジー・ビジネスをかくれみののして資金を集め、南米の天然資源の利権にむらがる
先進諸国をも手玉にとる組織というのは、現実でもありそうな話。
悪人と交渉したくないが、もはや、ビジネスパートナーとして組むのは悪人しかいないって
政府要人の言葉はなかなか含蓄がありましたね。

あと、Mとボンドの信頼関係の見せ方もよかったな〜。
ボンドの動きを抑えようとしつつも、最終的には上層部の意向に反して彼をかばう。
「彼は私の部下よ。私は彼を信じるわ。」の台詞はかっこよかった!
ラストのボンドとの会話も、多くを語らなくても通じあえる二人の関係性が表れていて素敵でした。

これまでの陽気でスマートでスタイリッシュなボンドのイメージとは異なるため、
賛否両論あるみたいですが、
私はダニエル・クレイグのボンドは、かっこよくて、クールで、たくましくて好き
愛する女性をなぜ失ったのか、その真実を知り、気持ちに区切りをつけた彼が、これから
どう007として成長していくのか、彼のボンドをまだまだ見たいな〜と思います。

そして、今回のボンドガール、復讐心を心に抱く勝気なカミーユ(オルガ・キュリレンコ)は、
「脱がない」「ボンドと寝ない」と異色な存在でしたが、野生の黒豹みたいなワイルドな美女
ぼろぼろになった黒いドレスを身にまとい、同じく黒のスーツに身を包んだボンドと二人、
砂漠を歩くシーンは、かっこよすぎでした!

『地上5センチの恋心』


好き度:★★★★☆
「Odette Toulemonde」
オデット(カトリーヌ・フロ)は、昼はデパートの店員、夜はレヴューの羽飾りの内職をして、
女手ひとつで二人の子供を育ててきた未亡人。
日々の生活に追われた彼女の唯一の楽しみは、大好きな作家バルタザール
(アルベール・デュポンテル)のロマンス小説を読むこと。
ある時、批評家に酷評され、しかも、その批評家と自分の妻が浮気をしていることを知った
バルタザールは自殺未遂をおこすが、その時に、オデットがくれたファンレターに目がとまり・・・・。

現実を忘れてしまうくらい、本が垣間見せてくれる世界に没頭したことのある経験のある人は、
オデットの気持ちがわかるんじゃないかな。
書いた本人に会いたくてサイン会に赴く途中で、高揚する気持ちを抑えきれずに
ふわりふわりと地上からオデットが浮かび上がってしまうシーンは、思わず微笑んでしまう

心優しく美容師として働いているゲイの長男。無愛想で現在無職の長女。
二人の子供を一生懸命育てているなか、つらくてたまらない時には、バルタザールの小説に
救われてきたんだよね。イメージとしては、ハーレクイーンロマンスなのかしら?

しかし、彼の小説はある批評家に酷評されてしまう。
彼の小説は「くだらないしろもの」で、「安っぽい人形集めが趣味」で、「夕陽の写真が、大好き」な
美容師や店員しか読まない・・と。
・・・・これにあてはまるのが、まさにオデットそのものなんだけど(笑)

自尊心がズタズタにされたバルタザールは、オデットが心を込めて書いたファンレターを読み、
心打たれて、藁にもすがる気持ちで彼女の家を訪ねてしまう。

夢にまでみたセレブな作家が、いきなり自分の家に転がり込んできたらそりゃびっくりしちゃう。
でも、驚きつつも何もきかずに自然に彼を受け入れてあげるオデットの包容力。

本当にオデットはかわいらしい〜!
大好きなジョセフィン・ベーカーの曲にあわせて踊りながら家事しちゃうところがとっても素敵。
色々厳しい現実もありながら、それでも前向きに、楽しそうに生きている彼女の姿に、
バルタザールは少しずつ癒されていき、自分の幸せについても考えなおすんだよね。

そして、バルタザールを迎えにきた妻と、出版社の人を前にしたオデットの台詞には思わず涙・・・。
ちゃんと彼をもとの生活に戻してあげようとポンと背中をおしてあげるんだよなあ。
ここは、年季のはいった大人の女しかいえない台詞なんですよ。

決してピカピカの美男美女の組み合わせではない、ちょっと人生に疲れたくたびれた大人同士の
ラブストーリー、でも、そこには夢もちゃんとあるところが好き

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