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『サイド・バイ・サイド:フィルムからデジタルシネマへ』


好き度:★★★★☆

東京国際映画祭で鑑賞。

映画がフィルムからデジタルシネマへと時代が大きく変わろうとしている現在、
映画製作現場の人達は一体どう考えているか。
キアヌ・リーブスがインタビュアーとして話を聞く構成。


これ、映画が好きな人にとってはたまらなく面白いと思います。
いろいろ書き留めておきたいことがあったので久しぶりにブログを書こうと思った次第。

出演している監督は、ジョージ・ルーカス、マーティン・スコセッシ、ロバート・ロドリゲス、
ジェームズ・キャメロン、デヴィッド・リンチ、クリストファー・ノーラン、
スティーヴン・ソダーバーグ、ランス・フォー・トリアー、ウォシャウスキー姉弟など、
錚々たるメンバー。
(見ている時はすぐにピンとこなかったのですが、撮影監督達もすごいメンバーです。)

「フィルムのほうが断然いい!」というノーラン監督みたいな人もいたけれど、
「私の中ではフィルムは10年前に終わってるし。」というキャメロン監督をはじめ、
全体的にはデジタル移行に肯定的なのが意外でした。
(スピルバーグ監督やタランティーノ監督がいたらもっと違ったかもしれませんが・・・。)

もう特殊効果や編集は全てデジタル化されているので、
撮影のみフィルムにこだわってもという雰囲気のよう。

理由として

\里醗磴辰謄メラの性能が格段に改良され、映像の質がよくなってきた。

デジタル撮影の「スラムドッグ・ミリオネア」がオスカーを受賞したのも、
ひとつの大きなきっかけだったらしいです。


▲侫ルムだと(巻きの長さに限界があるから)一度に短時間しか撮影できないけれど
デジタルだと延々と撮影でき、かつ、その場でチェックし演出の修正ができて効率的。

ただ、これに関しては長時間、撮影できるから役者がだれる。
フィルムがまわる音、すなわちお金が消えていく音に聞こえ(笑)
役者の緊張感が保たれるのがいいという監督も。

撮影監督達は、これまでは撮影中は自分だけがそこに映っているものが見えていたのに・・と
複雑な思いがあるようです。


カメラの操作が簡単で、フィルム撮影に比べ低予算で撮影が可能。
よって大きな予算がとれない、例えばキャリアのない新人監督でも撮影できると。

そういえば、「クレイジーホース」のワイズマン監督のQ&Aで
初めてデジタル撮影にしたのは?という質問に、
「フィルムで撮りたかったけれどお金がなくて・・・。」と
フィルム撮影とデジタル撮影にかかる金額を具体的におっしゃっていたけれど
そんなに差があるの!!って驚くほどでした。

今までと比べ、様々な人が映画が撮れるようになり門戸が広がることについて聞かれた
デヴィッド・リンチ監督が面白くて、
「鉛筆と紙を与えたからって、素晴らしい物語がたくさん生まれるわけじゃないからね。」
インタビューを受けている場所も赤と黒に統一されたシアター(?)で、
衣装もばっちり決めていてさすがだわと思いました(笑)


そして、私はウォシャウスキー(主に姉)監督の発言が、最も印象的でした。

「デジタルへの移行は撮影現場よりも配給システムが最も影響を受ける。
いちから変わってしまうからね。」

デジタルに移行するに伴い、実際、既にPCやスマートフォンなどで
映画を見る人が増えてきてるし、そのうち、人々が劇場に来なくなる可能性だってある。
結局、自分達の選択が自分たちの首を絞めることになるのかも。

フィルムはなくなると思うか?の質問に、
本当に必要なら方法を人間は見つけるだろうし、失うこともまた人生だと・・・・。

*****************************************

その後、黒沢清監督×撮影監督栗田豊通氏のトークショーがありました。

栗田氏は「デジタルにしかできないことがあるからデジタルで撮影したい。」
黒沢監督は「色々な可能性があるからこれからはデジタルで試したい。けれど、
フィルム撮影という選択肢も残して欲しい」と。

そして、
「皆さんにとって、撮影がフィルムかデジタルかなんてあんまり関係ないですよね?」
と黒沢監督が問われたのですが、

例えば、

.妊献織觧1萄酩
スラムドッグ・ミリオネア、ドライヴ、メランコリア、ドラゴン・タトゥーの女

▲侫ルム撮影作品
戦火の馬、マネーボール、ダークナイト ライジング、ツリー・オブ・ライフ

これらの映画は全て、映像綺麗だなーと思うし、
私は正直、その差がよくわからなかったりします・・・。

なので監督夫々のスタイルにあったほうを選択でき、結果面白いものができればいいのかなぁと。

ただ、黒沢監督のお話によればどちらで撮影したいかと選択する以前に
都内の映画館でフィルム上映できるところがほとんどなくなってきているので
必然的にデジタル撮影で、ということになってきているそうです。
映画館の状況の変化があまりにも急すぎることに危惧を抱いていらっしゃるようでした。
確かにデジタル化に対応できない映画館の閉館のニュースが続いていますもんね・・・。

数年後には状況はどう変わっているのか、少し怖いですが
これからも多くの素晴らしい映画を映画館で楽しめる日々が続いて欲しいですね。
来年も映画館にがんがん足を運びたいと思います!

『それでも恋するバルセロナ』

 
好き度:★★★★☆
「Vicky Cristina Barcelona」
夏のバカンスでバルセロナを訪れたクリスティーナ(スカーレット・ヨハンソン)と
ヴィッキー(レベッカ・ホール)は、セクシーな画家のフアン・アントニオ(ハビエル・バルデム)に
出会い、惹かれていく。
そして、彼の元妻のマリア・エレナ(ペネロペ・クルス)が戻ってきたことから、
四人の関係が次第に・・・・。

バルセロナって古さとモダンさを併せ持つ素敵な街で大好き〜!
食べ物も美味しいし、ガウディの建築物を色々見てまわるのももちろん楽しいし。
グエル公園の椅子にすわりながら高台からの景色をぼ〜っと見ているだけで、多分一日過ごせる。

そんな魅力的な街バルセロナに、開放的な気分になれる夏のバカンスで訪れ、
飲んでるワインは美味しく軽く酔いがまわっているところ、
フェロモン満載のラテン男に言葉巧みに口説かれたら、どうします?

私、断る自信はありません。(キッパリ)

鑑賞前はウディ・アレン監督がハビエルに自分を投影して妄想を実現した映画?
とおもいきや、一般女性の妄想を掻き立てる話でもあるんじゃないかな〜(笑)
だって、こういうあばんちゅーるって、楽しそうじゃないですか?
今年の夏は、バルセロナに行きたくなったくらい、楽しい映画でした!

「欲しいものはわからないけれど、欲しくないものはわかる」と現在自分探し中の
クリスティーナは、恋愛には積極的で、すぐにフアンに惚れちゃうのもわかる。
恋には慎重派でアメリカには婚約者までいるヴィッキーも彼に惹かれるのもわかる〜!
こういう真面目な女性ほど情熱的な口説きに弱いもの・・・。

ここまでだと、よくある三角関係の話なのですが、ここにかなりエキセントリックな女
マリアが登場して、3人にからむから俄然面白くなる!

ちょっと、熱くなるとすぐにスペイン語でまくしたてるマリアが素敵!
クリスティーナの前だから英語で話さないとわからないだろう!ってマリアをたしなめる
フアンまでもがだんだんスペイン語にかわっちゃって、
二人でがんがんいいあいしちゃい、クリスティーナがひとり取り残されるシーンが
最高に好き!

他にも、ぽんぽんとびかう会話がとても面白く、美男美女揃いなので
自分からは遠い世界のゴシップ記事を読むような感覚で物語を楽しめる。

バルセロナの街は黄味がかった映像で映し出され、昔の遠い街のような印象を受け、
なおかつ、何故かストーリーの流れを語る古臭いナレーションがはいる。
映画のつくりもどこか観客との距離を意識しているのかな〜なんて思った。

登場人物、そして見ている者たちの夢(あるいは妄想)が、
風船のようにパンパンに最大限にふくれあがったところで、
もう、これ以上ないってくらいの絶妙なタイミングでパチンとはじける!
その気持ちいいくらいの目の覚めっぷりといったら、もう笑うしかないのだ(笑)

ウディ・アレン監督、最近めちゃめちゃ映画づくりが楽しそう・・・・。
音楽も昔よく聴いたスパニッシュ・ポップスが使われていてたまんなかったわ。

『重力ピエロ』


好き度:★★★★☆

「家族の愛は、重力を超える」

原作を先によんでしまったらまず、映画は観ません〜。
自分が想像する本の世界とかけはなれていて落胆したり、物足りなく思ってしまうことが多いから。
幸いにも伊坂作品は、ほとんど読んでいないので、こころおきなく映画を堪能〜。
おかげで謎解きの部分も楽しめたし、
鑑賞後は「原作を読んでみたい」と思える映画でした。

「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ」とサラリと癌を告白する父親の台詞など
素敵な言葉がいっぱいあったな〜。

真面目な兄とマイペースでありながら何か激しい想いを内に秘める弟。
容姿もおよそ似ていないんだけれど、仲のよい兄弟。
加瀬君&岡田君のキャスティングは、はまっていたと思う。
ちょっと前にDVDで「天然コケッコー」を見ていたので、岡田君の成長ぶりにびっくり。

連続放火事件とその周りに必ず出現するグラフィックーアートの謎。
前半は何かあるんだろうな〜と思える含みをもたせながら展開し、
過去の出来事をときどきはさみながら、徐々に家族が抱える悲しい記憶が明らかになる。

兄が殺意をおぼえるシーンは見応えあった。
自らが犯した罪を罪とも思わない嫌らしさのかたまりのような男を演じた渡部篤郎はもちろん、
激しくはないけれども体の内から抑えきれない憎しみや怒りが沸いてくるさまを表現した
加瀬君からも目が離せませんでした。

タイトルにつながる最後の空中ブランコのシーンが
もうすこしファンタジックで目がさめるような映像であってほしかったな。
そうすれば、私の心ももう少しふうわりと浮揚したかもしれない。

『スラムドッグ$ミリオネア』


好き度:★★★★☆
「Slumdog Millonaire」
インド・ムンバイのスラム街出身で無学の青年ジャマール(デーブ・パテル)は、
TV番組「クイズ$ミリオネア」で最終問題までたどり着き、
一夜にして億万長者となるチャンスをつかむが、
スラム街の負け犬(スラムドッグ)になんか答えられるわけがないと不正を疑われてしまう……。

「運ではなく、運命だった。」 ファイナル・アンサー!!!

走る、走る、走る。そして 踊る(笑) ぶっちぎりのオスカー8部門獲得。

話の展開は、ほぼ予想どおりだったのですが、
スピード感あふれる映像と音楽のセンスが楽しくて好き!

インドのミリオネアの司会は、みのもんたのようなタメがないのね。

スラム街での過酷な人生を生き抜くストリートキッズ達の逞しさに、胸が熱くなり、
(子役がみんなとっても可愛い♪)、愛の強さと兄弟の絆には、ホロリときた。

ボリウッドムービー的なエンドロールも楽しいので最後まで見るのがお勧め〜!
A.R.ラフマーンは、「ムトゥ 踊るマハラジャ」の音楽も。

『少年メリケンサック』


好き度:★★★★☆
レコード会社で新人発掘を担当するかんな(宮崎あおい)は、
ある時ネットで、パンクバンド「少年メリケンサック」を発見する。
スカウトしようとメンバーが働く店に行くかんなだったが、そこに現れたのは五十歳近くの中年おやじ。
かんなが見たのは、彼らの25年前の映像だった・・・・。

クドカンのパンクに対する愛情全開ムービー!
いつものごとく台詞はビビッドでテンポよくて、どのキャラクターもしっかり確立されていて面白い!
今回、主役の宮崎あおいをはじめ、でている役者さん全てが個性をもってそこに「生きてる」感じ。
少年メリケンサックのメンバーの佐藤浩市、キム兄、田口トモロヲ、三宅弘城の
チームワークが最高でかけあいの間も絶妙なんだよね。
私、全ての笑わせポイントで笑っていたような気がします・・・。
下品なシーンや、シモねたもあるので、ノレない人もいると思うけれど、私はツボでして、
コーヒーをおもいっきり吹いてしまい、両隣の人に大迷惑を・・・・ (ナンテコト・・・。)

昔のマネージャーの回想という形をとって若い頃と
中年時代のストーリーを平行して、みせるところはおもしろかったです!
大好きな波岡君は、いろいろなヘアスタイルとファッションで七変化
マッシュルームカットと初体験のシーンは笑ったな〜。
全然似てないのに、次第にハルオ(キム兄)の若い頃に見えてくるから不思議・・・。

そして、なんといっても!
ユースケに胸もまれたり、牛糞を顔にぶつけられたり、目の前でパンツ脱がれたり
文字通り体当たりで演じた宮崎あおいがひかってましたね〜
我侭なおやじたちに振りまわされてアタフタしちゃっているとこや、
彼氏には仔猫モードでおもいっきり甘えてみたり、酔いつぶれてしまったり、
ぶちきれておもいっきり眉間に皺寄せ中指つきたてたり(笑)
どのシーンも本当にキュートなキャラクター全開のはじっけぷりです!

ず〜っと笑いっぱなしでしたが、やはりジミーの「涙」と「ニューヨークマラソン」でしょうか・・・・
あと、TELYAも笑ったわ・・・・。(あれは某ミュージシャンから苦情がくるんでは・・・。)

パンク、最高〜っ

『サーチャーズ 2.0』


好き度:★★★★☆
「SEARCHERES 2.0」
かつて同じ映画で共演したフレッド(エド・パンシューロ)と、ひょんなことから
再会した元B級映画俳優のメル(デル・ザモラ)。
意気投合した二人は、子役時代にある脚本家から虐待を受けたことを思い出し、
メルの娘を巻き込み、脚本家フリッツ(サイ・リチャードソン)への復讐を果たすために
モニュメント・バレーに向かう・・・。

映画1000円で、かつ、休日なのでひさびさに映画館をハシゴしようと思いましたが、
面白くて、これ1本で満足してしまいました
まさに「映画の映画による映画のための映画」(by 黒沢清監督)
古きよき西部劇映画へのオマージュ&今のハリウッド映画界とアメリカに対する皮肉満載な
ロードームービー。

見渡す限りの広大な乾いた土地と抜けるような青い空のコントラスト!
こういう雄大な景色を見ながら旅するのってなんて素敵なんだろう♪
こちらまで旅を満喫している気分〜!

そのうえ、車中での初老のおじさん二人の映画に関する会話が、映画オタクそのもの!
二人のウンチク話にうんざりするメルの娘デライラ(ジャクリン・ジョネット)も、
ときどき鋭いツッコミをいれたりして、この3人の会話が面白いんだ。
「史上最高の戦争映画は?」との彼女の質問に、出るわ出るわ!
メルとフレッドが「ディア・ハンター!」「地獄の黙示録!」「フルメタル・ジャケット!」・・・と
延々と名前を挙げるのだけど、時々、「ディープ・インパクト!」なんて間違ったものもでてきて
「それは戦争映画じゃないじゃん!」なんてつっみながら楽しめる(笑)
同時に、戦争映画というのは「軍から無料で武器や戦車を提供してもらうかわりに
徴兵所のシーンは好意的に描かれたりしてるんだ!」と、
軍とハリウッド映画界との癒着を堂々と皮肉ったり(笑)

映画のことを語りつつ、実はハリウッドやアメリカへの強烈な批判が
さりげなく織り交ぜられているところが粋なの
(個人的にマイケル・ムーア監督を揶揄しているシーンで大笑いしてしまいました)

それは、ちょっとした小物にもいかされていて、例えば車のバンパーに張られているステッカー。
「KICK THEIR ASS and TAKE THEIR GAS (奴らを倒し石油を奪え)」というのは
実際にイラク戦争前に販売されていたものだそう。
開戦後は、販売されなくなり、会話にだされるのもタブーになった代物らしいw

「正義、石油、復讐!」
3つの言葉で、イラク戦争を正当化するフレッドとメルは、自分たちの復讐劇も正当化しようとする。
しかし、監督の考えは「復讐にハッピーエンドはありえない」なんだよね。
監督が用意した復讐劇の顛末は・・・!?

彼らの目的地であるモニュメント・バレーは
ジョン・フォード監督「捜索者」の舞台となった西部劇ではおなじみの場所。
そこで、メル、フレッド、フリッツの三者で繰り広げられる「史上最凶」の決闘シーン!
もうね、大爆笑してしまいましたよ
オチも、強烈なハリウッド批判が効いていてニヤリ。

思いっきり堪能しました!アレックス・コックス監督は最高にクール

『世界最速のインディアン』


好き度:★★★★★
「THE WORLD'S FASTEST INDIAN」
1960年代、ニュージーランドの小さな町で暮らす63歳のバート(アンソニー・ホプキンス)は、
愛車であるバイク、1920年型インディアン・スカウトを改造することが何より好き。
彼の長年の夢は、ライダーの聖地アメリカユタ州ボンヌヴィルで行われる
最速バイクレースに出場すること。
「夢は世界最速!」奇跡のような大記録に挑戦した実在の人物バート・マンローの物語。

台所もトイレもないガラクタばかりが積まれた質素なガレージで独り生活している初老の男。
バート・マンロー(アンソニー・ホプキンス)は、
愛車のオートバイ「インディアン・スカウト」を1日中改造している。
収入は年金だけなので、その改良も手作りの鋳型でピストンをつくったり、
隣の家で借りた肉切り包丁でタイヤを削ったりして、独自の方法でお金はかけないのですよ。

彼が25年見続けている夢はただひとつ、愛車「インディアン」で世界最速記録をうちたてること!

そんな彼を、周りの人々は風変わりな人扱いしているのだけど、
隣の家に住む少年だけは、バートのことが大好きなの。この二人の会話がまたいいんだな〜。
「事故死が怖くない?」
「いいや 怖くないね。こういうマシンでスピードに挑むときは 5分が一生に勝る。
そう一生より…充実した5分間だ。
危険が人生に味をつけるんだ。リスクを恐れてはいかん。」

この当時、ニュージーランドからアメリカのユタ州ボンヌヴィルまで行くのって相当大変だったろうな。
爪に灯をともすような倹約生活をして、渡航費用もコツコツ貯めているけど、まだ全然足りない。
バートはため息まじりに呟く。
「ここだけの話、ボンヌヴィルは夢のままで終わるんじゃないかと思ってるよ。」
しかし、ここで狭心症の発作がバートを襲う。ドクターストップがかかった彼は、
自分の人生もそろそろ終わりに近づいてきていることを悟り、一念発起!
全財産をはたいてボンヌヴィルに行くことを決意する。

旅立ちの時の少年の台詞がまが泣かせるのよ。
「みんな、失敗すると思ってるよ、僕以外はね!」

そうして、バートのボンヌヴィルへの旅が始まる。老人のロードムービーってだけで楽しい

お金が足りないため、コックとして船に乗せてもらい、ようやくたどりついたのはロサンゼルス。
ニュージーランドののんびりした片田舎から出てきて、常にマイペースなこの爺ちゃんは
次から次へとこれでもか〜というぐらいトラブルに見舞われる(笑)
でも、バートって、とっても人なつっこくて、困ったときは気兼ねもせずに他人に助けを乞う。
そして、彼と出会う人は不思議とみんな助けてあげちゃうのですよ。
普通、絶好のカモとしてお金取られたり、ボコボコにされたりしちゃいそうなものなんですが(笑)

出会う人があまりにいい人ぞろいで、「うそ臭い・・・」と下手したら思っちゃう展開なんだけれど
名優アンソニー・ホプキンスが、そんな愛すべきキャラを軽やかに演じていて、説得力あるの。
(あのレクター博士の面影はみじんも感じませぬ・・・)
あんなに屈託のない無邪気な人に、てらいもなくポンと懐に飛び込まれたら、
なるほど、誰でもうけとめてあげたくなるんじゃないかなと思えてしまう。

そうして、やっとたどりついたボンヌヴィル。
地平線まで延々と広がる塩平原は、神々しく白く輝く、まさにライダーにとっての「聖地」。
その地に立ち、言葉にできない感動に震えるバートの表情が、なんともいえず素晴らしい(涙)



世界最速を競うレースには、ピカピカで最新のマシンが勢ぞろい。
そんななか、バートのインディアンは1920年代の骨董品みたいなバイク。
しかも、節約のために、バートの手作りパーツ満載だし・・・・(笑)
「マシンも人もポンコツだ」とバカにしていた周りの人も、
25年来の夢をかなえようとするバートの一生懸命さと憎めないキャラに次第にほだされ、
最後には、みんな彼を応援していくくだりにも涙、涙・・・。

そして、夢にまでみた晴れの舞台で、「インディアン」と共に爆走する姿は、最高にかっこいい!
たまんないくらいのスピード感です!



実際のバート・マンロー氏↓


彼が1967年につくった1000cc以下の流線型バイクでの記録時速295.44キロ(!!!)は
いまだに破られていないそう。





「頑張れば、必ず夢はかなう」って真実じゃないと思う。
夢を実現できる人ってほんの一握り。
けれど、何かを追って一生懸命になった経験のある人は、
バートと共に一喜一憂して、その想いの強さに間違いなく胸が熱くなる。
そして、また、頑張ってみようかな・・・と思うのだ。

「夢を追わない人間は、野菜とおなじだ」(笑)

『下妻物語』


好き度:★★★★☆
ロココ朝時代のフランスに生まれたかった
ロリータファッションをこよなく愛する竜ヶ崎桃子(深田恭子)と、
 レディースの一員であるヤンキーの白百合イチゴ(土屋アンナ)。
茨城県下妻市を舞台に、性格が正反対の二人の少女が
次第に友情を育んでいく爽快青春ムービー。

中島監督の「パコと魔法の絵本」を見て、これはまさに「COOL JAPAN」を代表する作品だなあ。
と思っていましたが、すでにこの「下妻物語」が世界で公開されてたんですね〜。
フランスでは100館で公開されたなんて知らなかったです(苦笑)
しかも中島監督って、あのサッポロビールの卓球温泉のCM作った人なんですね

CGやアニメーションを組み合わせたセンスあふれるPOPな映像もとても楽しいし、
一見水と油にみえる正反対の二人が友情を育くむストーリーはストレート。
音楽もセンスよくて好きだわ〜と思ったら菅野よう子でした。

下妻市の田んぼの真ん中でフリフリのロリータファッションに身を包む深キョン、
はまりすぎです・・・。もちろん可愛いのはいうまでもないのですが、
周りにどう思われようと関係なく、あくまでも自分ワールドにひきこんでしまう天然ぶりは見事。
それも嫌味なく演じられるのはこの人のキャラ。

友達は必要としないし、お洋服があればいいと、自称根性が捻じ曲がっている桃子が、
友達のためなら体を張るあつ〜いイチゴに次第に影響を受けていき、変わっていくのが
なんだか気持ちいいくらい爽やかなんですよ。クライマックスシーンはすかっとしました!

やっぱり、この監督の作品大好き!繰り返し見たいのでDVD買おうかしらん。

『そして、私たちは愛に帰る』


好き度:★★★☆☆
「The Edge of Heaven」 
トルコ人娼婦イェテル(ヌルセル・キョセ)と暮らし始めるアリ(トゥンジェル・クルティズ)。
そんな父親を軽蔑する大学教授であるネジャット(バーキ・ダヴラク)。
イェテルの娘であり、トルコで反政府活動をしているアイテン(ヌルギュル・イェシルチャイ)。
アイテンと友達になり、何かと力になろうとするドイツ人学生ロッテ(パトリシア・ジオクロースカ)。
ロッテの行動が理解できない保守的な母親スザンヌ(ハンナ・シグラ)。
ドイツ・ハンブルクとトルコ・イスタンブール。2つの国を舞台にした3組の親子の物語。

2007年カンヌ国際映画祭で最優秀脚本賞受賞。
失って、傷ついて、それでも、人はまた希望を見いだすことができる・・・・。

実は前半ウトウトしてしまいました。なので、あまりちゃんとしたことは書けず。

この映画の背景となっているドイツとトルコの現状について、知らなかったことが多く、
新鮮な驚きが・・・・。

移民を多く受け入れているドイツ。(ファティ・アキン監督もドイツ在住のトルコ系移民2世だそう。)
異国で移民として生きていくのは、なかなか大変で、社会的にも経済的にも成功するのは難しい。
そして、トルコ人としてのアイデンティティをどうやって保つのかという問題も。

トルコは、料理は美味しいし、東洋と西洋の文化がちょうど交錯する地点で
エキゾチックな魅力溢れる国だな〜ぐらいの認識だったのですが、
社会における経済的格差はかなりあり、反政府運動も盛ん。
人権を無視した政府の対応は、国際社会でも批判をあびていて、
それもありEU加盟がまだ認められないなんて、初めて知りましたもの・・・・。

そんな二つの国を舞台に、最初はバラバラにみえた3組の親子のエピソードが、
二人の死によって、少しずつ薄くつながっていく。
でも、最後に全てつなげてみせるわけではないところが、余韻を残す。

一番印象的だったのが、ロッテとスザンヌの母子のエピソード。

最初は、反政府運動家の友達アイテンに、どんどん肩入れをしていく娘ロッテを
理解できない、家庭の主婦以外やったことのない保守的なお母さんかと思っていたら・・・。

ロッテの足取りをおって、トルコに来た時のタクシーの運転手さんとの会話ではっとする。
「インドに行く途中に、イスタンブールには寄ったことがある」と。
そう、彼女もまた若いころにバックパックを背負ってインドに旅行するような
好奇心旺盛な青春時代を送った女性だったのだ。娘はお母さんの血をひいていたんだな。
宿泊場所から出かけるとき、異国の地で見知らぬ人に気軽に
自分から挨拶する姿が娘と同じなんだもの。

だからこそ、娘の日記を読み、その想いを知って娘の最後の願いをかなえようとする。
親が子を思う愛は途切れることがない・・・。
亡くした娘は、彼女の心の中で永遠に生き続けるのだろうな・・・。
このあたりのストーリー展開は見事だなあとは思うのだけれど。

やっぱり、スザンヌがアイテンを赦すのが、腑におちなくてね・・・・。
彼女に関わることがなければ、娘は死ぬことはなかったわけで・・・・。
果たして赦せるものかしら?
ここがストンと理解できていたら、とても感動した作品だったと思う。
事実、隣に座っていたご婦人3人組は「素晴らしすぎる・・・。」と手放しでほめてらっしゃいました

『その土曜日、7時58分』


好き度:★★★★☆
「Before the devil knows you're dead」
離婚した妻への養育費の支払いに困っていた弟ハンク(イーサン・ホーク)は、
兄アンディ(フィリップ・シーモア・ホフマン)から、両親が経営する宝石店への強盗計画を持ちかけられる。
絶対に安全で成功する計画だったはずが、一発の銃声により状況が一変。
ひとつの誤算をきっかけに事態はどんどん悪い方向に転がり始め、二人は徐々に追い詰められていく。

悲劇的な結末のはずなのに、テンションあがりました〜!
何度も時間軸が過去に戻り、そのたびに違う人間の視点から描かれる手法で
徐々に事実が明らかになっていく構成と
演技巧者揃いの俳優陣の熱演で、濃密に織りなされる人間ドラマに釘づけ

ハンクは顔もいいし、性格も優しいけれど、およそ、甲斐性のない男。
お金にいつも困っていて、娘にまで「Loser (負け犬)」呼ばわりされるヘタレぶり。
何をするにもなんだか詰めが甘い。

そんな人のいい弟を利用しようとしたアンディも、
一見社会的に成功しているかのようにみえて、実は幸せを感じてはいない。
ドラッグにおぼれて、会社のお金に手をだし、追い詰められている。
冒頭、妻とのSEXシーンからいきなり映画が始まるのには、びっくりしたけれど、
あの殺伐とした行為から、夫婦関係も微妙なことがわかる。
(マリサ・トメイはひさびさにみたけれど、ヌード綺麗だったな〜

そうして、事件は起こり、彼らはかけがえのないものを失う。

ここから、なんとか軌道修正しようとするのだけれども、打つ手打つ手が裏目にでて、
どんどん彼らは追い詰められてしまう。
彼らが感じる焦燥感が、文字通り「ジリジリ」と音をたてて聞こえてくるよう。

少しずつアンディが父親に抱いている複雑な感情が明らかになってくるところが面白かった。
「死んだのが親父だったらよかったのに・・・・。」
強くてたくましい父親は、彼のあこがれだったんだろうね。
そんな父親に認めてもらいたくて、でもそれがかなわないから、
あえて父親とは違う生き方をしようと、無理を続けてきたんだろうな。
あと、素直な弟ばっかり可愛がってもらえているような僻みのような感情も・・・・。

弱気になった父親がアンディに
「昔は、愛情表現がよくわからなかったんだ。傷つけてすまなかった。」・・・・と。

このタイミングでそれを言うなよ。卑怯じゃないかと泣き叫ぶ演技はさすがのオスカー俳優、
フィリップ・シーモア・ホフマン。
もっと早く父親とわかりあえていたら、自分の人生は変わっていたかもしれない。

しかし、全ては遅すぎた。

この悲劇がアンディが引き起こしたことと知った父親の視点が加わることから、
俄然、緊迫感がまし、悲劇的なクライマックスへ突入!
静かな憎悪の胸に秘め、行動する父親の哀しいほどの業の深さ。
アルバート・フィニーもうまかったなあ〜。

凝った手法をとりながらも、事件の流れはわかりやすく見せ、起こった事実だけではなく、
その裏に隠されたそれぞれの秘めた思いと崩壊していく家族の姿を、徐々にうきぼりにしていく。
スピード感も心地よく、シドニー・ルメット監督の手腕はお見事
84歳にしてますますパワフル。負けてられ〜ん!!

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